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自宅に盛り込んだ“こだわり”も紹介!人も猫も快適で幸せな家づくりを提案する猫好き夫婦の「一級建築士事務所」

自宅に盛り込んだ“こだわり”も紹介!人も猫も快適で幸せな家づくりを提案する猫好き夫婦の「一級建築士事務所」

東京都八王子にある株式会社レン・アーキテクツは猫好き夫婦が営む、一級建築士事務所。

社内に設置した「設計部 ネコ課」のロゴ

ご主人は猫好きの一級建築士で、奥さんのなかむらちさとさんはインテリアコーディネーター。3匹の愛猫たちと暮らしながら、多くの猫好きさんに、人も猫も快適に暮らせる共生住宅を提案しています。

きっかけは3匹の愛猫が快適な家づくりを目指したこと

ちさとさんは幼少期の頃から猫と暮らしてきた、猫好きさん。旦那さんは犬派でしたが、結婚後に猫を家族に迎えたところ、すっかり魅力に取りつかれ、猫好きに。

レイシーちゃん(左上)、とらおくん(右上)、のん太くん(下)

共に建築設計の仕事に携わる2人は利便性を考えて、郊外の賃貸住宅から街中のマンションへ引っ越した際、人も猫も快適な家にしようと奮闘しました。

そこで、マンションの間取りを一度、フルスケルトンにし、再設計。互いに様々な意見を出し合いながら、多忙な日々の中、自宅を完成させました。

観葉植物はASPCA(アメリカ動物虐待防止協会)のリストを参考に、猫に無害とされているものを選定

そして、その経験から、人も猫も心地のいい空間だと感じられる住まい作りをサポートしたいと思うようになり、社内に「設計部 ネコ課」を設立。

課の名前は色々な案がありましたが、この設計事務所には猫好きがいるということをストレートに分かっていただけることやインパクトを重視して決めました。

こうして、夫婦は猫と人が快適で幸せに暮らせる共生住宅作りを手掛けるようになったのです。

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建築設計のプロが自宅に盛り込んだ“3つのこだわり”とは?

家づくりを行う中で、インテリアコーディネーターであるちさとさんは「猫コーディネーター」として、家に住む人や猫がどんなことを求めているのかを丁寧に把握。安全で、みんなが快適に楽しく生活できる空間やインテリアを提案しています。

猫がいくらかわいくても、家中が猫グッズで埋め尽くされると、人が暮らしにくくなりますし、人間の事情を優先させると、猫に我慢を強いることになる。住む人や猫によって必要な配慮が変わってくる家づくりのお手伝いは、猫好きな設計事務所にしかできないことだと思っています。

実際、自身も自宅マンションを再設計した際、様々なこだわりポイントを盛り込んだそう。例えば、猫トイレには専用の換気扇を設置し、消臭対策。

愛猫がおしっこを我慢して病気に繋がらないよう、猫用トイレは人の気配をあまり感じない落ち着ける場所に設置しました。

トイレスペースの上部は、収納棚。猫たちのフードや猫砂、ペットシート、爪とぎ、おしりふきなど、日用品をストックしています。

必要な物を設計の段階から確保することで、猫の健康保守の問題を解決し、物をスッキリしまうことができました。在庫が一目で分かり、使いやすくもなりました。

脱走防止対策としては、導線に配慮。猫が直接、玄関扉の前に行けないよう、玄関とLDKの導線に配慮し、回廊のようなレイアウトにしたのだとか。

自宅の図面

玄関は5帖程度と広く取り、収納スペースをたくさん設けました。これは猫がイタズラしやすいものや、誤って食べてしまいそうなものを完全に分離したかったからです。

玄関横には猫が入れない部屋も完備。導線やエリアを決めることで、人も猫も生活がしやすくなったそう。

また、猫にとって居心地のいい場所となるキャットウォークにも、オリジナルの工夫が。立体的な動きをしてもらいたいと考え、LDKと寝室を行き来できるように設置したのです。

キャットウォークは、なるべく部屋の中で目立たせないよう、棚やカーテンBOXの延長線上になるようにしました。おかげで、ほとんどの家具は造り付けとなり、部屋がスッキリとするという利点もありました。

様々な工夫と配慮を盛り込んだ、なかむらさん夫婦の猫共生住宅で3匹の愛猫たちは伸び伸びと生活中。その姿に、なかむらさんたちは目を細めています。

ただ、実際に住んでみて初めて気づいた改良点もあったそう。それは、マンションであるため、外水栓がないこと。

猫の嘔吐などで汚れたものや猫用トイレを洗う時には、バケツなどを使いながら浴室で洗っていますが、次に自宅を設計することがあれば、猫専用の洗い場は必ず設けたいです。

家を建てるということは、人生の中で1番の買い物。だからこそ、妥協や不安を持ったまま進めず、まずは猫とどんな生活をしたいのか家族で話し合ってイメージを膨らませてほしい――。

そう語る、ちさとさんは猫共生住宅を建てる際には、人と猫、どちらか一方に偏り過ぎず、双方が必要としているものを、きちんと洗い出すことが大切だと考えています。

日本の住宅はどうしても平面的には狭いことが多いですが、上下には空間が空きやすいので、事前に計画し、限られた空間を有効活用することが重要だと思います。

情熱を持ったプロと一緒に作る猫共生住宅は、その建築期間も含めて、一生の財産となるもの。猫愛が止まらない、なかむらさん夫婦が今後も、どんな愛ある猫共生住宅を生み出していくのか楽しみです。