国内最大級の猫イベント「Lovelyにゃんフェスタ」が、2025年11月1日(土)・2日(日)の2日間、大阪南港ATCホールで初開催されました。Lovelyにゃんフェスタの魅力は、お買い物や展示だけではありません。獣医師と専門家から愛猫との暮らしに役立つ知識を直接学べる講演会にも、たくさんの人が集まりました。

今回は、飼い主さんたちが熱心に耳を傾けた2つの講演、「目指せ30歳!猫様に長生きしてもらうために、私たちができること」「猫ちゃんの『ごはんを食べない』にはワケがある!」の模様を、明日から試せる最新知識満載で詳しくお届けします!
獣医師講演「目指せ30歳!猫様に長生きしてもらうために、私たちができること」

講師:ライオンペット株式会社 獣医師 井上悠美先生
ご自身も2匹の愛猫と暮らす井上先生は、「愛猫に1日でも長生きしてほしい」という飼い主さんの願いに応えるため、「トイレ環境」と「オーラルケア」の重要性を、最新の研究結果を交えて解説しました。
あなたの家のトイレは大丈夫?猫の気持ちでチェック!
「もしあなたが外出先でお腹が痛くなった時、同じ距離に仮設トイレと高級ホテルのトイレがあったら、どちらを使いますか?」。そう問いかける先生に、多数の飼い主さんが「ホテルのトイレがいい」と回答。
先生は「選べる場合は皆さんホテルに行きますが、ない場合は、仮設トイレを使いますよね」と続けます。「猫も同じ。猫だって本当は最高のトイレを使いたいんです。毎日家のトイレを使っているからといって、そのトイレを気に入っているとは限りません」。
「確かに…」とちょっと不安になった飼い主さんたちに、先生は「猫のトイレいやいやサイン」を教えてくれました。
・トイレの縁に足をかけて、猫砂に4本脚をつけずに排泄する
・猫砂ではなく、壁やトイレの縁をガリガリ掻く
・排泄後に猫砂をかけずに、慌てて飛び出していく(いわゆる「ウンチハイ」もこれに当たる可能性が!)
では、どのようなトイレ環境が、猫にとって理想的なのでしょうか。先生の最新研究結果をふまえた、「理想のトイレの条件」は下記のとおり!
<獣医師が教える!理想のトイレ環境>
・猫砂:多くの猫は鉱物系を好む傾向に。砂かきをしても底が見えない深さ約5cmが理想です。「十分入れているつもりでも、測ってみると2cmくらいしかないことも多いので、一度定規で測ってみて」と先生。
・容器:体長の1.5倍以上(50cm以上が目安)で、飼い主さんが排泄に気づきやすい屋根なしオープンタイプが推奨されています。
・数と場所: いつでも清潔なトイレを選べるよう「猫の数+1台」を、管理しやすい場所に設置しましょう。予備の「+1台」用には、場所をとらないコーナー型のトイレも便利です。
・清掃:最低でも1日1回は排泄物を取り除き、月1回は砂を全量交換して容器を洗浄するのが理想的です。
よく知られているとおり、猫の下部尿路系に関する病気は多いもの。気兼ねなく気持ちよく使えるトイレを用意して、猫ちゃんの健康を守っていきたいですね。
毎日の歯磨きが、未来の健康を守る鍵

続いては、猫の歯磨き講座。「猫に歯磨きが必要なの?」と首をかしげる飼い主さんが多い中、先生はデータを示して、歯磨きの重要性を示しました。
「2歳までの猫の約70%が口腔トラブルを抱えている」(※)とのこと。猫の歯垢が歯石に変わるには約7日しかかからず、これは人の約4倍の速さ。だからこそ、猫ちゃんにも毎日の歯磨きが重要なのです。
(※)※出典:Niemiec, B et al. (2020). World Small Animal Veterinary Association Global Dental Guidelines. The Journal of small animal practice, 61(7), 395–403.
「でも、うちの猫ちゃん、歯磨きなんてできる気がしない…」。そんな飼い主さんに、先生はじっくり時間をかけて馴らすこと、また進め方のコツを丁寧に解説してくださいました。
<今日から始める!歯磨き習得の3ステップ>
・コミュニケーション:まずは歯ブラシで顔周りを優しく撫でるなど、道具に慣れさせることから。「焦らなくて大丈夫。各ステップに2カ月かかることも普通です」。
・お口タッチ訓練:頬や鼻先をマッサージし、慣れたら唇をめくって歯や歯肉に優しくタッチ。歯磨きジェルを使い、できたら3秒以内にご褒美おやつをあげるのがポイント。
・歯ブラシでケア:持ち方は力が入りすぎない「ペンクリップ(鉛筆持ち)」で、ゴシゴシは絶対にNG。歯垢はお風呂のピンクカビを落とすくらいの優しい力で落ちるので、毛先がわずかにしなる程度でOK。歯周病菌が潜む、歯と歯肉の境目に45度の角度で毛先をそっと入れ込むイメージが◎とのことでした。
「無理強いはせず、おやつなどのご褒美で『歯磨き=楽しいこと』と学習してもらうのが成功の秘訣。数カ月かかるのは当たり前。時間をかけて取り組みましょう」と、先生は締めくくりました。
専門家講演『猫ちゃんの「ごはんを食べない』にはワケがある!」
続いては、ごはんのトピック。「急にごはんを食べなくなったのはなぜ?」そんな猫あるあるな悩みに、猫の習性や五感の観点からアプローチします。先生は、一緒に暮らす愛猫のエピソードも交えながら、具体的な解決策を教えてくださいました。

講師:日本ペットフード株式会社開発企画部 愛玩動物看護師 芦田真衣先生
講演は「あなたの猫ちゃんはどのタイプ?」という問いかけからスタート。絶対に食べないフードがある「新しいもの嫌いタイプ」、飽きると急に食べなくなる「グルメタイプ」、何でも食べる「エリートタイプ」の診断に、会場の飼い主さんたちも興味津々。「病気や加齢で療法食やシニア用などに切り替えるときなどに、何でも食べられる子のほうが、健康でいられます」との言葉に大きく頷いていました。
では、なぜ「ごはんを食べない」といったことが起きるのでしょうか。プロの知見から、考えられることを紐解いてみましょう。
<猫は五感で味わう!「食べない」の裏にある意外な理由>
・ひげセンサー問題(ひげ疲れ):「猫のひげは、実は筋肉で動かせる高感度センサー。深い食器だとひげが常に当たってしまい、触れるのが嫌で引っ込めていると、疲れてしまって食事をやめてしまうことがあるんです」。浅くて広いお皿に変えるだけで解決することも。
・こだわり温度:猫が最も好むのは、獲物の体温に近い約38℃。食欲がない時は、フードを少し温めて香りを立たせてあげるのが効果的。
・好みの食感:野生時代に肉や骨を噛み砕いていた名残で、歯切れ良い食感が好み。歯に粘りつくようなモチモチした食感は苦手な子が多いそう。
・不思議な味覚:甘みはほぼ感じない一方、肉や魚に含まれるリン酸の「酸味」を好むという面白い特性も。
そんな特性をふまえて、食欲が落ちた猫ちゃんに対してできそうなアプローチはこちら!
<食のお悩み解決アプローチ>
・香りをプラス:フードを人肌に温める、出汁や魚粉を少量トッピングするなど、嗅覚を刺激してあげましょう。
・鮮度をキープ:開けたての香りは最高のごちそう。大袋より、いつでも新鮮な小分け・使い切りパックがおすすめです。
・ローテーションを組む:数日おきにフードの風味やブランドを変えて「食べ飽き」を防止。まずは食べ慣れているメーカーの味違いから試してみるのが安心。
・「好き」のサインを見逃さない:器を抱え込むように食べたり、食後に口周りを熱心に舐めたりするのは「おいしい!」のサイン。逆に、匂いを嗅いだだけで離れたり、お皿からかき出したりするのは「嫌い」のサインかもしれません。
最後に先生は「24時間以上全く何も食べない場合は病気の可能性があり、緊急性が高いので、迷わず動物病院を受診してください」と注意を促しました。
2026年はまず東京で開催決定!
大盛況のうちに幕を閉じた「Lovelyにゃんフェスタ」。まさに「猫好きの猫好きによる猫好きのためのイベント」は、「猫が好き」という想いのもと、出展者と来場者の枠を超えた一体感が感じられる、居心地のいい空間でした。「大好き」を共有できる幸せを、皆さんもぜひ感じていただければと思います。
「またリピートしたい!」「次こそ行きたい!」と思った猫好きさんのために、早くも次回開催が決定しています!
「Lovelyにゃんフェスタin東京2026」
2026年2月21日(土)・22日(日)
東京ビッグサイト
2月22日の「猫の日」を含む2日間、猫好きさんたちの祭典がさらにパワーアップして帰ってきます。ぜひお見逃しなく!





