まんまるお顔とポンポコお腹がかわいい羊毛フェルト作品を作る、きろりんさん。
幸せが滲み出た表情や、まんまるなシルエットに思わずほっこり。温かみのあるきろりんさんの作品には、これまで共に暮らしてきた動物たちへの愛情も込められています。
人に喜んでもらえた嬉しさから作品制作をスタート
初めて羊毛フェルトに触れたのは、10年以上前。雑貨屋で、たまたま目に入った羊毛フェルトキットにチャレンジしたところ、虜に。
ふわふわの羊毛を刺し固めて形にしていく過程や、針で刺す感触と音がすごく好きで、夢中で作りました。
もともと、熱しやすく冷めやすいタイプであったため、その後はしばらく羊毛フェルトに触れない時期が続いたものの、お姉さんの結婚式には好きなマナティをモチーフにしたリングピローを制作。
また、お母さんの知人の娘さんからリクエストを受け、成人式で着物に合わせられる大きな椿の髪飾りも作りました。
その時に喜んでもらったことがすごく嬉しくて、また少しずつ作品制作を再開するようになったんです。
もともと動物が大好きで、実家では全10匹の猫と全3匹の犬と暮らしてきたことから、作品は自然と犬猫が多くなっていったそう。
猫さんは、みんな元野良さんで、ご縁があって我が家に来てくれた子ばかりでした。とにかく、どんな瞬間も全部愛しいと思う、猫バカ犬バカです。
もちろん作品によっても異なりますが、ひとつの羊毛フェルト作品を完成させるのに費やす期間は、2日~1週間ほど。
ある程度出来上がっても、翌日に見ると納得できない箇所が発見できたり、新たな気づきを得られたりするため、時間を置き、何度か修正を繰り返します。
制作中は自身が間近で見てきた、動物たちのかわいいしぐさやポーズを形にできるよう、努力。
表情には、特に気を使っています。ほんのひと刺しで表情がガラっと変わってしまうことがあるので、バランスをみながら慎重に針を進めています。
きろりんさんいわく、試行錯誤しながら表情を探っていると、作品のお顔がにっこり笑ってくれる瞬間があるそう。
それがお顔の仕上がったサインだと思っているので、そこから修正することは、ほとんどありません。だから、その瞬間が来るまで、ひと刺しひと刺し、焦らずに針を進めるようにしています。
ポンポコな猫の羊毛作品の背景には深い猫愛が
きろりんさんが生み出す猫作品は、大きめのお顔とポンポコなお腹が特徴的。そうした作風になったのには、実家で一緒に暮らしていたチャトラ猫・きろくんの存在が関係しています。
きろくん
きろはくんはお顔が大きく、お腹がタポタポな地域のボス猫だったそう。時々、家の裏に顔を出し、ご飯を貰っていましたが、人間が近づくと牙をむき出して威嚇をしました。
しかし、ある時、大怪我を負ったことから、きろりんさん宅で暮らすことに。
きろにとっては、不覚にも人間のお世話になってしまった…!という感じだったかもしれません。
ただ、身体の回復と共に人慣れし、人間大好きな“デレデレおじさん猫”に豹変。
野良生活が長かったせいか、すごく哀愁があり、ちょっと小さめのつぶらな瞳が、またかわいくて。
そんなきろくんをモデルにしているため、きろりんさんの猫作品は、どの子も顔が大きめ。
ぽっちゃり猫さんやブサカワ猫さんも大好きなので、ついお肉を付け過ぎたり、思わず笑ってしまう模様をつけたりすることもありますが、それはそれで個性的な猫さんになってくれる。この子はこの子で、なんだかかわいいという感覚を大切にしています。
本物の猫にも色々な子がおり、みな個性的でかわいい。だから、自分の手から生み出す猫さんたちにも素敵なご縁があることを楽しみにしながら、愛情を込めよう…。そんな温かい想いが宿っているからこそ、きろりんさんの作品は見る人をほっこりさせるのです。
「かわいいね」と声をかけながら作った思い出の羊毛作品たち
これまで制作した作品の中で特に印象深いのは、定番の作品となったバンザイ猫さん。
このキャラクターは、大好きな猫のきろくんがモチーフ。当時、写真を参考にして作品を作ることが多かったきろりんさんは旦那さんから勧められ、何気なく描いていたきろくんのイラストをもとに、作品作りをしてみることに。
すると、自分らしい愛嬌たっぷりの作品が完成。目指したい方向性も見えてきました。
そうか、こういうのを作りたかったんだ、と。そこから試行錯誤を経て、今の形に落ち着きました。頭に鳥さんや果物を乗せたり、アニマルセーターを着せたりするのがお気に入り。これから少しずつ種類を増やしていく予定です。
そして、ゴロンと寝転んだ「ゴロリン猫さん」は、安心して身を委ねながら抱きかかえられる猫をテレビで見て、ほっこりしたことから制作した作品。
このシリーズの猫さんは、何をされても気にしない優しい子という設定。
粘着ローラーやツボ押しマッサージを持たせてみたり、最近ではパンにまみれてもらったりと、楽しく遊んでもらっています(笑)
また、好みを反映させながら勢いで作り込む、「季節のイベント猫さん」は楽しい制作時間をもたらしてくれた、思い出深い作品。
季節のイベントコスチュームを着せた猫さんは、完全に一点もの。季節イベントに合わせた音楽を聴きながら、楽しく制作しています。
実家で一緒に暮らす中で笑顔になってくれた犬猫さんたちのように、ご縁をいただいたお家に行っても幸せに暮らしてほしい。そんな思いがあるからこそ、きろりんさんは制作中、作品に「かわいいね」と、たくさん声をかけるのだそう。
おでこが広めで、お腹がポンポコリンなのは、お迎えくださった方が毎日おでこやお腹を撫で、かわいがってくださるように、という想いもあります。
出来上がった作品は、みなかわいいため、お迎えが決まった時には嬉しい反面、少しだけ寂しくもなるそう。
でも、喜んでいただけると、作って良かった!と心から思えます。これからも、笑顔をお届けできるように、色んな作品に挑戦したいです。
そう語るきろりんさんは、いつか自身の羊毛作品を使って、目と耳で楽しめる動く絵本のような動画を作りたいと意欲を燃やします。
ここまで夢中になって続けてこられたのは、お客様からのレビューやメッセージのおかげ。これからも、ぽっちゃりフォルムの色々な作品に挑戦しますので、楽しみながら、お付き合いいただけたら嬉しいです。
今後はSNSでの情報発信にも力を入れ、作品を見てもらえる機会を増やしていきたいとも考えているそう。動物への愛情が詰め込まれた作品の数々は現在、minneやcreemaにて販売中。気になる方はぜひチェックし、“ほっこり補給”をしてみてください。