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猫の首にお花を咲かせる「サビエル首輪」 外猫を“溺愛される家猫”にしたいと願う制作者の猫愛

猫の首にお花を咲かせる「サビエル首輪」 外猫を“溺愛される家猫”にしたいと願う制作者の猫愛

まるで、お花が首元で咲いているかのように見える「ザビエル首輪」は、ユニークな名称も目を引く、猫用の首輪。

この首輪は、「外で生きる猫をみんな家猫にしたい」という制作者maiさんの優しい猫愛から誕生しました。

保護活動費を確保するために「サビエル首輪」を考案

現在、保護活動歴9年目maiさんは、保護猫活動をする中で外猫の過酷さをより痛感。「みんな、おうちの中でいっぱい愛されて、ぬくぬく幸せに暮らして欲しい」と思うことが増えました。

「ザビエル首輪」は、保護活動費の確保が厳しかった保護活動3年目の時にひらめいたものです。

寄付を募るのは嫌だったので、何かを販売して保護活動費にあてたくて。最初は我が家の愛猫グッズを制作していましたが、それよりも猫ちゃんがかわいくなるグッズのほうが喜ばれるのでは?と思ったんです。

ユニークな名称は、猫写真展「ねこ休み展」での販売が決まった時につけたのだそう。

みんながクスッと笑ってしまう、インパクトの強い名前がいいなと思って(笑)

制作時、こだわっているのは猫心を想像すること。愛猫が人間の女の子だったら選びそうなかわいい生地をピックアップし、首に着けた時、お花のように広がるよう設計しています。

「サビエル首輪」は「ねこ休み展」以外に、ネットショップ「BASE」でも2ヶ月に1度ほど販売されていますが、毎回完売するほど大人気。人気の秘訣は、ひとつひとつ手作りされている丁寧さにもあります。

「サビエル首輪」の縫製は自身のお母さんや専門のお手伝いさん数人が担当。maiさんは選んだ生地を縫製担当の人たちに送り、最後にボタンやチャームをつけ、ラッピングをしています。

キツくないよう、柔らかいゴムにしているので、保護猫ちゃんも受け入れてくれやすいです。首輪やハーネスを着けなくてはならない、もしもの時の練習にもなるかと思います。

ちなみに、maiさん自身の愛猫たちもザビエル首輪を楽しんでいます。特に印象に残っているのは3匹揃って、色違いのザビエル首輪をつけてくれた時のこと。

この光景は21歳のモコちゃんが亡くなった今、見ることができないものであるからこそ、大切な思い出としてmaiさんの心に刻まれています。

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「サビエル首輪」が紡いだ命と込められた猫愛

「ザビエル首輪」の売り上げは、ピンチに陥った猫の命を紡ぐためにも役立ちました。過去には、40万円という膨大な治療費が必要になったガンの猫ちゃんを支援したことも。

多頭崩壊現場のレスキューをしてくれた方に、20万円ほど寄付したこともあります。

なお、maiさんは里親募集をする際、「愛されている証」としてサビエル首輪を装着しているそう。こうすることで写真が目に止まりやすくなったり、猫のかわいさが引き立ったりして、譲渡に繋がりやすくなると考えているのです。

外猫がみんな家猫になり、家族から溺愛され、安心して幸せに暮らして欲しいと切に願います。

そう話すmaiさん、実は「保護猫ハウスmocoto」という保護猫シェルターを運営中。きっかけは、近所の社長さんから切実な相談を受けたことでした。

社長さんによれば、5匹の猫を飼っていた近所のお爺さんが亡くなり、親族が猫たちを外に出してしまったとのこと。猫たちはみな、シニアでした。

行き場を失っていたアンナちゃん

幸い猫たちはみな保護できましたが、社長さんから「猫たちを預かってほしい」と言われ、maiさんは困惑。

我が家は、愛猫のコトが成猫を執拗にいじめてしまうので難くて…。預かれる場所があれば、お世話に通いながら里親募集することはできると提案したんです。

すると、社長さんは所有していた空き家を貸してくれたそう。優しい人たちの猫愛により、シニア猫たちの命は無事、紡がれたのです。

保護猫ハウスmocotoが繋ぐ“大人猫の命”

そんな経緯でスタートした保護猫ハウスmocotoは現在、maiさんが保護した大人猫の居場所にもなっているよう。

保護猫ハウスmocotoでの様子

今、シェルターでは5匹の子が暮らしています。これまで保護してきた猫は、170匹。譲渡は165匹ほどです。

中でも印象に残っているのは、46匹目の保護猫ましろくん。ましろくんはmaiさんのお祖母さんが持つ別荘がある山に捨てられていた子でした。

命を紡げた、ましろくん

山の管理人さんからの情報から捨て猫と断定できたものの、ましろくんは毎日2kmほど移動したため、捕獲には3週間もの月日を費やしたそう。

野生動物も多いので早く保護してあげたかったけれど、焦って失敗してしまったら捕獲機に2度と入ってくれなくなるので、緊張の連続でした。

ましろくんは外では威嚇をしていたものの、保護後、室内に入れると、すぐにゴロゴロと喉鳴らし。

「早く捕まえてほしかったよ!」と言われた気がしました。今は、里親さん宅で幸せに暮らしています。

自身が出会った猫との思い出を大切にしながら、新たな猫を幸せにするために「ザビエル首輪」を作り続けるmaiさん。込められた想いを知ると、愛猫をよりかわいく彩ってくれる「ザビエル首輪」が、より愛しくなります。