11月17日、冷たい雨が降る午後。
譲渡型保護猫カフェ「しあわせにゃん家」に大学生2人が飛び込んできました。
その手には上着にしっかりとくるんだ子猫。
「猫が落ちてたんです。死にそうなんです!助けてください!」
オーナーさんが飛んでいくと、冷たくなった子猫は目と口を見開いたまま、手足を硬直させていました。
もうカチコチに固まってしまっているのです。
瞳孔も開いているように見えますが、かすかに手足の先だけ震えています。
「これは厳しい…!」経験からそう思ったオーナー。
しかし、まだ命の灯は尽きていません。
「私もどうすればいいかわからん!」叫びつつも、急いでシンクに熱いお湯をはりました。
熱いお湯に漬からせるのは、昔同じような症例でかつぎこまれた子がそれで息を吹き返したから。
虚ろな目の子猫に、オーナーは必死で呼びかけます。
「いい子だから温まって頑張るよ!」「生きて!お願い!!」
ほどなくして、子猫の眼球が動き始めました。
目に少し力が宿り、意識を取り戻したように見えます。
すかさずタオルに包んで保温し、あたたかいミルクを飲ませます。
今度は体の中を温めるのです。
口の中にミルクが流れ込むと、少しずつ飲みこもうとする子猫。
「いい子ね」「そう、飲んで」
今度は祈るようなささやき声で語りかけます。
子猫の四肢はだんだんと動くようになりました。
命をつなぐための緊急処置がいい方に出て、ひとまずは危機を乗り越えたように見えます。
小さな小さな子猫、生死の境から呼び戻すことはできました。
消えかかった命をあきらめなかった大学生たち、そして「しあわせにゃん家」のオーナーのおかげで、九死に一生を得た子猫。
ここからは子猫の生命力にかかっています。
どうかその瞳に生気が宿り、これからは雨に濡れることなどない、幸せな猫生を歩むことができますように。