温かみのあるイラストで、猫と人の間に生まれる絆の尊さを描くのが上手い漫画家にごたろさん。そんなにごたろさんの最新作『ノリ吉は大吉猫』(KADOKAWA)が2024年5月22日(水)に発売しました。
本作は、大ヒットの末に完結した『拾い猫のモチャ』シリーズ(KADOKAWA)に登場した子猫・ノリ吉が主役。子猫らしいノリ吉のかわいい仕草にキュンとさせられる一冊となっています!
『拾い猫のモチャ』シリーズとは?
『拾い猫のモチャ』は作者にごたろさんが昔、一緒に暮らしていた猫たちをモデルにして描いた猫コミックエッセイ。
書籍名に登場する「モチャ」は、世にも珍しい三毛猫の男の子。家族はモチャとの交流を通して猫という生き物のかわいさを知り、成長していきます。
にごたろさんは三毛猫モチャの姿を通して、猫飼いなら誰しもが「分かる!」と共感してしまう“猫あるある”や人と猫の間に生まれる絆も丁寧に表現しており、読者はほんわかした気持ちになります。
そして、ストーリーが進むと、ミルクやノリ吉といったモチャ以外の猫も登場し、物語はさらに賑やかに。猫と一言で言っても、個性や性格は様々なのだと気づかせてくれるのも本作の良さです。
『ノリ吉は大吉猫』の見どころは?
本作の見どころは、無邪気でマイペースなノリ吉の行動がたっぷり楽しめるところです。必死に繰り出した猫パンチが一度も当たらなかったり、ご飯タイムには嬉しさのあまり打ち震え、鳴きながら食べたりするなど、どんな時でも全力投球なノリ吉の姿は愛くるしさ満点。
イラストに添えられている、ノリ吉の行動への適格なツッコミにクスっとさせられもします。
また、にごたろさんは子猫らしい愛くるしさをイラストで巧みに表現しているため、猫飼いさんは自然と、愛猫が子猫だった頃のことを思い出してしまうはず。
「うちの子もこんな行動していた」「こういう姿は見たことなかった!」など、愛猫とノリ吉の奔放さを比較すると、各々の個性がより一層愛しくなること間違いなし。
なお、本作にはここでしか読めない描きおろし作も収録されており、『拾い猫のモチャ』シリーズでおなじみのモチャも登場!
大人猫と子猫の微笑ましい交流にも、読者は笑顔を貰えます。
『ノリ吉は大吉猫』の感想・レビュー
本作は子猫と暮らしている方が楽しめるのはもちろん、シニア期の愛猫を愛でる飼い主さんにもおすすめしたい作品だと感じました。
ノリ吉の自由奔放な姿を見ていると、うちの子もこんな風に遊んでいた、こんなドジっ子だった、遊びに貪欲すぎてたくさん笑顔にしてもらった…など、愛猫と過ごしたワンシーンが鮮明に浮かんできて、心が温かくなりました。
我が家では、3匹の愛猫がみなシニアに。昔よりも無邪気な行動が減ってきた今だからこそ、マイペースに成長していくノリ吉の姿には、心に刺さるものがありました。
いつの頃からか大人になり、できることが増えていった愛猫たち。しかし今後、年を重ねていくと、子猫期のように自力ではできないことが出てくることもあるもの。そうした時、
自分はこれまでに貰った癒しや笑顔の恩返しとして、老いていく愛猫に何ができるだろう…。本作を手に取ると、そんなことも考えさせられました。
愛猫がそばにいてくれる生活は当たり前で永遠に続くように思えるけれど、本当は期間限定の宝物みたいな時間。きっと、愛猫がいてくれるだけで飼い主の日々は“大吉”になるのだと思います。
そう気づかせてくれる本作は、愛猫をギュっと抱きしめたい日にこそ読んでほしい一冊です。