企画記事

ファンに愛されつつ病気と闘う「やすらぎ治療室」の看板猫ミケちゃん

千葉県市川市にある「やすらぎ治療室」は、冨森さんご夫婦が切り盛りされているアットホームな鍼灸マッサージ治療院。ここには、持ち前の「ひまわりスマイル」で、たくさんのお客さんに元気を与えている看板猫のミケちゃん(推定8歳)がいます。

「ひまわりスマイル」をするミケちゃん
「一晩だけ…」のつもりが看板猫に

ミケちゃんと冨森さんが出会ったきっかけは、お隣に住む美容室の奥さんが猫好きで、外猫にご飯をあげていたこと。その中の1匹だったミケちゃんは他の猫たちとは違い、人懐っこく、次第に「やすらぎ治療室」をのぞいたり、なでなでやご飯をせがんだりするようになりました。

外猫時代のミケちゃん

そこで、冨森さんは昼間だけお店の中で過ごさせてあげることに。「閉店時間には心苦しく思いながらも外に出し、自宅に帰っていました。」

しかし、ミケちゃんのことが気になり、日に日に冨森さんの出勤時間は早くなっていったそう。ついには朝5時前にお店に行き、ミケちゃんの様子を見守るようになりました。



そんな生活が一変したのは、4年前の寒い夜のこと。「どうしても外に出たがらなかったので、一晩だけと思い泊めてみたら、イタズラすることなく良い子でいてくれた。それ以来、ずっと店内で過ごしています。」

初めておうちにお泊りした日

ミケちゃんは右足が根元からない、3本足の猫さん。獣医師さんによれば、先天的なものではないかということでした。

最初は後ろ足が一本ない姿に同情する方も多いのですが、いつも明るく前向きなミケちゃんに、逆に元気を貰えたと多くの方に言っていただいています。

お店で過ごすにあたり、ミケちゃんはマイルールを決め、守り始めたそう。

・いたずらはしない。
・常連さん以外の施術中は専用ベッドで大人しくして気配を消す
・ご飯が置いてある控室には決して入らない
・ソファーや柱に爪を立てない
・夜にウンチをしたらトイレをバスタオルで覆って匂いの拡散を防ぐ

訪れたお客さんを優しく包み込み、瞬く間にファンを増やしていきました。「ちょっと猫が苦手で犬派だった方もミケちゃんと接しているうちに、猫派(ミケちゃんファン)になることが多いです。」

高齢になり、自分でペットを飼うことができなくて寂しい…。そんなお客さんの心にもミケちゃんは寄り添い、笑顔の理由になってくれています。

夏のある日に「甲状腺機能亢進症」だと判明して…

しかし、今年の7月、ミケちゃんの身体に異変が。ある日、冨森さんはミケちゃんの体温が少し高く、痩せてきたかもしれないと思ったそう。けれど、食欲や元気はあったため、夏の暑さのせいかもしれないと考えました。

ところが、7月末に下痢や嘔吐をし、ぐったり。急いで動物病院へ連れていくと、「甲状腺機能亢進症」であることが判明しました。

甲状腺機能亢進症とは、甲状腺からホルモンが過剰に分泌され、新陳代謝が活発になる病気。シニア猫に発症しやすいものの、一見、病気とは思えない症状が見られるため、見過ごされてしまうことも多いと言われています。

ギリギリまで弱みを見せず、健気に生きようとした愛猫の姿に冨森さんは胸が痛んだそう。

闘病生活を傍で支えつつ、SNSを介してミケちゃんの現状をファンの人々に報告し、医療費の寄付を募りました。

すると、全国各地のフォロワーさんから寄付だけでなく、心温まる手紙やお見舞いが寄せられたそう。

猫に囲まれながらの朝食動画が話題になっている那須の長楽寺からもお守りが届きました。

また会いたい。どうか元気になりますように…。ファンの人たちのそんな願いが通じたのか、その後、ミケちゃんの体調は徐々に回復。甲状腺機能亢進症は完治する病気ではありませんが、現在は甲状腺ホルモンの分泌を抑える薬を飲みながら、病気と上手く付き合っています。

この病気はある程度の年齢になると、比較的多くの猫がかかるものだからこそ、『よく食べる割に痩せている』『心拍数が多くて体温が高い』などと感じたら、ぜひ動物病院で診察を受けていただきたいです。

病気の恐ろしさを目の当たりにしたからこそ、冨森さんはそんなアドバイスを世の猫飼いさんに贈りつつ、闘病中に支えてくれた多くのファンの方に感謝の言葉を寄せています。

外猫時代、店の外で冨森さんからご飯を貰うと、必ず少し残して他の子に食べさせていたミケちゃんは、誰かと支え合って生きることの大切さを、その姿で教えてくれる優しい猫。

ボス猫はお返しのつもりか、カラスや外敵から守ったり、他地域から来た気性の荒そうな外猫から遠ざけたりしていました。

持ち前の優しさが、ハンデのある体を守ったのかもしれない―。そう語る冨森さんの言葉は、今まで自分が癒してきた人たちから支援の手が伸ばされた今回の出来事にも通ずる部分があり、胸が締め付けられます。

再び多くのお客さんとの交流を楽しみつつ、冨森さんご夫婦と穏やかな時を刻めるようになったミケちゃんにはこれからも、代名詞である“ひまわりスマイル”をたくさん咲かせてほしいものです。