企画
沖縄県沖縄市にオープンした「タビネコブックス」2匹の”猫書店員”が紡ぐ本との出会い

沖縄県沖縄市にオープンした「タビネコブックス」2匹の”猫書店員”が紡ぐ本との出会い

2022年11月11日、沖縄県沖縄市にオープンした「タビネコブックス」は、カフェが併設されており、珈琲やビールを飲みながら読書ができる本屋さん。

ここでは、2匹の猫書店員が来店者と本の出会いを温かく見守っています。

愛猫と一緒に過ごしたくて「猫書店員がいる本屋」をオープン

経営コンサルタントである店主の堀家盛司さんは、子どもの頃から本の虫。いつか本屋さんをオープンさせたいという夢を抱く中で、世間がコロナ禍に。未来をじっくり考えた結果、長年の夢をかなえることにしました。

それにあたり、堀家さんが実現させたいと考えたのが、「猫と同じ空間で過ごせる本屋」。実は堀家さん、大の猫好き。自宅では共に保護猫で兄弟のにゃぶろうくんとふくすけくんと暮らしています。

兄弟猫のにゃぶろうくん(右)とふくすけくん

にゃぶろうくんは以前、暮らしていた那覇市で会社帰りに出会った元野良猫。

初対面の人にもフレンドリーで社交的な性格

毎日顔を合わせる仲になり、県外出張が控えていた時に「出張が終わったらうちに来る?」と勧誘。

すると、保護当日、不思議な出来事が。なんと、堀家さんが縄張りまで迎えに行くと、にゃぶろうくんは黙って後をついてきて、自ら家へ入ったのだそう。

ケージなどの道具どころか、指1本触れることなく保護に成功。もしかすると、猫は言葉が分かるのかも。

にゃぶろうくんの日課は、ふくすけくんの毛づくろいをすること

一方のふくすけくんも、元野良猫。

沖縄市に引っ越してきた堀家さんは夜のジョギングに出かける際、ゴミ捨て場を漁るふくすけくんを何度か見かけていました。

ふくすけくんは警戒心が強く、人の気配を感じると、あっという間に姿を消す忍者猫。そのため、保護は難しく思えたそう。

しかし、人から食事をもらっている様子はなく、痩せていため、堀家さんは心配になり、保護を見据えた餌づけをスタート。少しずつ距離を縮め始めた、ある日。怪我を負い、自宅の前に現れたことから、慎重に保護。動物病院で治療をし、自宅に迎え入れました。

家猫修業を経て、今では布団で一緒に眠り、よく喋る甘えん坊猫になりました。

スポンサーリンク



在宅勤務の推奨から一転し、社会がアフターコロナに向かう中、堀家さんはかけがえのない愛猫たちと一緒に過ごせる時間が減ってきたことに寂しさを抱いたそう。そこで、愛猫と一緒に過ごせる本屋をオープンさせました。

コロナ禍で一緒に過ごす時間が長くなった私たちの関係が大きく崩れないようにしたかったんです。

ただし、猫たちにかかるストレスを最小限にしたかったため、売り場には出さず、“ねこ書店員”として事務所内で裏方勤務をしてもらうことに。

不特定多数の人と触れ合うことも、猫にとってはストレスになる可能性があるため、堀家さんはお客さんとの触れ合いがないスタイルの「猫がいる本屋」にしようと決意しました。

成猫になるまでワイルドな環境で生き残ってきた子たちなので、お客様との間で万が一のことがあってはいけないとも思いました。

猫は、新しい場所に馴染むには時間が必要な生き物。そこで、堀家さんは猫のコンディションが最優先し、店休日や閉店後に2匹を本屋へ連れていき、少しずつ環境に慣れさせることにしました。

すると、にゃぶろうくんは本棚の中を探検したり、床のど真ん中に陣取ったりと自由に過ごしてくれるように。

にゃぶろうは、もうしばらくすると営業日に出勤できるようになるかも。運がよければ、お会計時にスタッフの後ろなどを通る姿を見られるかもしれません。

ふくすけくんは慎重な性格であるため、無理をさせず、現段階では時々お店に出勤してもらう程度に留めています。

2匹は、お店の広報担当として活躍中。インスタグラムでのライブに出演したり、店内ポスターやパネル、POPなどに登場したりし、お客さんを笑顔にしています。

店内には、ワイヤーアーティストに制作してもらった「ねこ兄弟オブジェ」も。こちらは、素敵な記念写真が撮れるフォトスポットになっているのだとか。

当店では、「タビネコブレンド ”夜行性” 」というオリジナルコーヒーも楽しめます。焙煎技術を競う国内大会で2度も優勝経験がある仲村良行さんに、焙煎を依頼。深煎りですが、飲みやすいと好評です。

お店には店名の通り、「旅」と「猫」にまつわる本がズラリ。

全体の2~3割を猫本が占めています。今後は暮らしや沖縄、絵本を加えた5つの柱を軸に、取扱本を増やしていく予定です。

現代は便利である反面、ついスマホに手が伸びたり、何らの連絡に妨害されたりして、読書など、ひとつのことに集中しづらい時代。だからこそ、新しい本と出会え、自宅のようにリラックスしながら読書ができる場所が作りたかった。

そう話す堀家さんは、これからも愛猫の労働環境を整えながら、猫第一主義で様々な人にとって憩いの場となる「タビネコブックス」を運営し続けていきます。

本と出会いたい、じっくり読書がしたいと思っている方の希望を叶えられる場所であり続けたいですし、猫が好きな方や興味がある方の生活の一部にもなれたら嬉しいです。

まだまだスタートしたばかりの「タビネコブックス」。2匹の猫書店員たちが、どんな活躍を見せてくれるのか楽しみです。