2021年の秋、サラさんは、玄関先に野良猫が時々来ているのを目にするようになりました。
まるまると太ってはいるものの、目つきは鋭く野良猫そのもの。
気にかけて、ごはんをあげていると、次第に毎日やってくるようになりました。
サラさんは、野良猫にブルースと名をつけました。
そして「いつかうちの子に」と決意したのです。
まずは人間と家に慣れるところから。
ごはんを家の中であげられるよう、誘導します。
「シャー!」という威嚇と猫パンチが飛んでくるので、サラさんは手袋で防御。
「そろそろ家でもやっていけるかしら」と思ったサラさんは、捕獲機をセット。
しかしブルースくんは案外賢く、捕獲機の板を踏みません。
サラさんは、シンプルに行こうと決断。
ブルースくんが家の中にいるときに、ドアを閉めました。
「捕まった!」と思ったブルースくん、ドアにアタックです。
しばらくは人間の手の届かない高いところや狭いところで怯えていたブルースくん。
サラさんは無理じいせず、距離をとりながらやさしく接します。
家の中に入ったことで、ブルースくんの社会化は一気に進みました。
寝そべってくつろぐ姿も見られるように。
しかし、サラさんが近づいたり、撫でたりすると、猫パンチが飛んできます。
「このままでは家庭内野良になってしまうかも…」
心配したサラさんは、保護猫団体に相談。
「孫の手のようなスクラッチャーで撫でられても安全だと理解させてあげて」とのアドバイスに従います。
触れられなくても、愛情をたっぷり注いだのです。
「人間は怖くない」「家は安全」「飼い主さんは僕を愛してくれている」
次第に理解したブルースくんは、サラさんについてまわるようになりました。
いつでも、サラさんのことをどこからか見つめているのです。
本来は甘えん坊だったのでしょう、ブルースくんはそのうち、毎日サラさんのベッドで眠るようになりました。
サラさんに抱っこしてもらって安心しきっています。
サラさんも嬉しくてたまりません。
「ブルースと一緒に笑顔で眠り、笑顔で目覚めるのよ」とサラさん。
約1年かけて、焦らず変わらず、ゆっくりと愛情を注ぎ続けたサラさん。
すっかり優しい目つきになったブルースくんは、サラさんの隣で幸せを満喫しています。