トロントに住むジュリアさんは自他ともに認める猫好き。そんなジュリアさんのもとに、珍客がやってくるようになりました。
そのお客さんとは、もちろん猫ちゃん。しかし、やってくる方法が変なのです。いつも爪をひっかけては、網戸のある窓によじのぼって、ニャーニャーとアピールしてきます。時間だって、朝も夜も関係なし。
ジュリアさんが外に出ると、この白茶の猫ちゃんは大喜び。お散歩にはついて歩き、ダンベルトレーニングをすれば応援してくれます。
抱っこだってこの通り。猫ちゃんに愛着がわいてきたジュリアさん、「この子をうちの子にしたいわ」と考え始めます。
しかし心配なのは、どこかの飼い猫ではないかということ。ジュリアさんは近所に聞いて回りました。その結果、正真正銘の野良猫ということが判明します。
ジュリアさんは、猫ちゃんを獣医さんのもとへ連れて行き、室内飼いにするために必要な処置を施しました。そして、猫ちゃんをリアムと名付けました。リアムくんは、獣医さんのもとから帰ると「僕は今日から家猫ですから」とばかりに、ジュリアさんのベッドに入り、抱っこで一緒に眠るようになりました。
リアムくんのチャームポイントは、なぜかいつも半開きのお口。このお顔を見るたびに、ジュリアさんはにっこりしてしまいます。
リアムくんには、もう1つ素晴らしい特質がありました。それは父性。ジュリアさんが預かりボランティアをしている小さな子猫たちのお世話を、一手に引き受けてくれたのです。最初はこわごわ近づいていた子猫たちも、リアムくんのおおらかな優しさに包まれて、すぐにべったり懐きました。
しばらくして子猫たちはみんな里親が決まり、ジュリアさんは涙ながらに送り出しました。リアムくんも内心さみしかったかもしれませんが、それでもジュリアさんを独り占めできる平穏な日々も捨てがたいようで、お口を半開きにしてすっかり甘えん坊の表情を見せています。
ジュリアさんは言います。「突然押しかけてきた野良猫が、こんなに優しい保育士さんだなんて思わなかったわ」「リアムに選ばれた私は幸せね」。野生の勘か運命か「この人と暮らそう!」と決めてアピールし続けたリアムくんの判断は大正解ですね。