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きっかけはウサギの石に出会ったこと。石から生みだされる「オンリーワンの動物たち」

きっかけはウサギの石に出会ったこと。石から生みだされる「オンリーワンの動物たち」

石はキャンバスでなく、コラボワークのパートナー。そう語るAkie Nakataさんは、”生き物を感じる石”を探し、丁寧に筆を入れてオンリーワンの動物を生み出している作家さん。ハイクオリティーな作品の数々は、多くの人に驚きを与えています。

子どもの頃から自然石を集めることや生き物を描くことが大好きだったというAkie Nakataさんがこうしたストーンアートを手掛けるようになったきっかけは、ある日、河原で素敵な石に出会ったこと。

散歩をしていたら、ウサギが落ちてるとしか思えない石に出会い、大事に持ち帰って彩色しました。石と、生き物と、描くこと。ずっと好きだったそれらが手のひらの上でひとつになった時の感動が、今の制作活動に繋がっています。

Akie Nakataさんにとって、石は絵を描くためのただの素材ではないそう。

あれほどたくさんの石があった河原の中で、そのひとつが生き物に見えたことは石との出会いだと思えた。だから私が筆を入れるのは、どこにでもある石ではなくて、出会った時にイマジネーションを貰え、コミュニケーションがとれた特別な相手だけ。

石を生き物として尊重しているからこそ、必ず出会えるわけではない一期一会に心を弾ませながら制作活動を続けています。

描くものを決めているのは石だから、制作の過程で削って形を変えることはしない。そんなマイルールを胸に秘めているため、以前、タコを思わせる石に出会えた時は驚きと嬉しさで胸がいっぱいになったそう。

縁起物としての名前をそのままいただいて多幸石と名付け、迎えてくださる方のご多幸をお祈りしました。
タコの石との出会いは、2010年から今までで3石だけです。

特別な石を探すところから始まる作品作りは、制作期間が未知数。Akie Nakataさんは石という命の中に新しい命を芽吹かせられるまで、とことん作品と向き合います。

石の中に感じた生き物の『命』を描きたい。最後に瞳を描き入れる時、その目がわたしを見つめ返してくる感覚を受けて、初めて完成したと思えます。どこをどんなに描きこんだから完成ということではなく、命を感じるかどうかで決まるんです。

物質としてではなく、ひとつの命として石を見ているAkie Nakataさんの姿勢には、胸に刺さるものがあります。

こんな想いを抱いているからこそ、その手から誕生する数多くの作品は、こんなにも見る人の心をとらえるのかもしれません。



ハイクオリティーで個性的なストーンアート5選

今回は、Akie Nakataさんの作品の中から、特に驚かされたものを一挙ご紹介!ぜひ、石の違いも楽しみながら、優しい世界観に浸ってみてください。
 

①もう一度出会いたい「コアラの石」

ユニークな形の石から生み出されたのは、なんとコアラ。大好きなユーカリの傍でにっこり笑う姿は、癒し度満点。頭にさりげなくユーカリの葉を乗せる遊び心にも、ほっこりとさせられます。

②ふわふわな被毛も完全再現!触りたくなる「ユキヒョウ」

こちらをじっと見つめながら丸まるユキヒョウは、ふわふわの被毛が忠実に再現されています。体の模様や顔の柄など、細かな部分の再現率も高いため、思わず写真を拡大してじっくりと眺めたくなってしまうはず。澄んだサファイヤブルーの瞳には、どんな世界が映し出されているのでしょうか。

③薄目を開けるクールなキツネ

眠りを妨げたのは、誰だ―…?そんな声が聞こえてきそうなキツネは、クールな印象を与えます。動物の日常生活を切り取ったかのような表情や体勢が巧みに表現されていることも、Akie Nakataさんの作品が生き生きとして見える理由なのかもしれません。

④石の地色を活かした鳩

首回りに施された華やかな彩色が目に飛び込んでくるこちらは、石の地色を活かした作品。体の地の色合いは石のまま、翼や羽毛を描き入れたのだそう。本物と見間違うほどリアルな手のひらサイズの鳩は、お部屋に飾りたくもなってしまいます。

⑤猫の愛くるしさを詰め込んだ三毛猫

被毛の流れまでをも丁寧に描いた三毛猫は、まるで生きているかのよう。三毛猫らしい美しい模様を見事に再現した上で、お手手をちょっぴり出すという猫の無邪気さも表現。猫らしい愛くるしさが惜しみなく詰め込まれた本作は、多くの猫好きさんをキュンとさせます。

私も石も、同じ地球の欠片。地球の欠片同士でコラボレーションしているのが、私のストーンアート。そう考えるAkie Nakataさんは生まれた作品のひとつひとつが、一期一会の出会いを大事に思ってくれる誰かのところに旅立つように…と願っています。

鼓動が聞こえそうな作品たちは、誰かの「元気の理由」に。命の上に命を息づかせる繊細なストーンアートから、今後も目が離せません。