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亡き父の書道教室を引き継いで…3匹の元野良猫が“邪魔かわいい応援”をしてくれる「のぐち道場」

亡き父の書道教室を引き継いで…3匹の元野良猫が“邪魔かわいい応援”をしてくれる「のぐち道場」

習い事に通うのは、ちょっぴり憂鬱な気分になることも…。しかし、埼玉県狭山市にある「のぐち道場」には習い事に通うのを楽しくしてくれる存在が。なんと、3匹の保護猫たちがお稽古や学習を応援してくれるのです!

3匹は、みな元野良猫。縁あって、「のぐち道場」で暮らし、生徒さんを見守るようになりました。

大怪我を負った1匹のサビ猫を自宅の庭で保護して

もともと、父親が実家の一室で書道教室を開いていたという野口さん。書道教室を引き継ごうと思ったのは、お父さんが亡くなって数年後のこと。過労などで心身の調子を崩したことから実家に戻り、書道を教え、学習支援も行うようになりました。

その頃に出会ったのが、サビ猫らぐちゃん。当時、らぐちゃんは近所をなわばりにしている野良猫。尻尾には、大怪我を負っていました。

なんとか保護したいと思い、お招きしたら、縁側から上がってきてくれたんです。

動物病院で手術を受け、らぐちゃんの尻尾は短くなったものの、体の状態は回復。野口さんはらぐちゃんを相棒のような存在と感じるようになり、「書道係」に就任してもらいました。

リハビリ中、ずっと書道部屋にいたので、今もここが陣地だと思っているのか、それともなにか書道係たる使命感があるのか、生徒のお稽古をいつもよく見守ってくれています。

らぐちゃんは生徒さんがいると、高確率で常駐。傍でやや邪魔をしながら、お稽古や学習を応援しています。

そんならぐちゃんと対照的なのが、先住猫の三毛猫みゅーちゃん。気高い女王様タイプであるからか、生徒さんの前にあまり姿を見せないレアキャラとなっているのだとか。

なお、同じく先住猫で食べることが好きな灰白猫のぎーさんは、おやつがほしくて書道部屋をウロウロすることがあるそうです。

猫たちは部屋の中を自由に出入りできるため、3匹は縁側や別室で休憩をとることも。

どちらかといえば私が従業員で、猫が道場主です。生徒さんはみんな、猫をかわいがってくれています。正直、お稽古より猫モフが楽しみで来ている子も多いと思います(笑)

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猫たちがいるから”居心地のいい学び舎”にできた

猫たちは生徒さんを応援するだけでなく、優しい心を育む手助けをしてくれてもいるよう。野口さんが、らぐちゃんの長かった野良生活や短い尻尾になった理由などを話すと、生徒さんは「尻尾かわいいよ」や「似合うよ」と優しい言葉をかけてくれるのだとか。

その言葉に感動します。らぐも野良歴が長かった割に、人間に対してあまり警戒しないので、なんだか天職のようだなーと思って見ています。

猫たちがいなかったら、道場は続けられないかもしれない。作りたかった“居心地のいい学び舎”が運営できているのは、紛れもなく彼らのおかげ。そう感じているからこそ、野口さんは愛猫が生き抜いてきた過酷な世界に思いを馳せ、動物の命の尊さを考えます。

らぐは発見時、血塗れで腐った尻尾の先が地面につかないよう、お尻を持ち上げ、立て膝をつくような座り方をしていて、それが今も癖になっています。外の暮らしは、どれほど過酷だったのだろうと心が痛みます。

だからこそ、保護猫・保護犬に興味を持ってくれる人や生体販売を安易に利用せず、動物の命を人と等しいひとつの命と考え、引き受ける優しい人が増えてほしい。そんな優しい祈りも、「のぐち道場」には込められているのです。

2023年9月時点、「のぐち道場」に通っている生徒さんは、小中学生30名ほどと大人が約10名。約40名の生徒たちは猫の無邪気さや愛くるしさに癒され、命の重みに触れながら書道や学習に励んでいます。