韓国のこちらのスポーツジムには、なんと猫のコーチがいます。名前はイェリム。女の子でとっても厳しいのです。
ジムのマシンの間をスタスタと歩き、運動しているみんなを監督して回るのがイェリムコーチの役目です。
猫だからって「いつも寝てばっかり!」なんて言わせません。自らもトレーニングを欠かさず、しっかり走り込みます。
こちらの男性は、一瞬だけ床にイヤフォンを置きました。さっと飛んできたイェリムコーチ、ちょいちょいと手でイヤフォンを払いのけ「片付けないと没収するわよ!」。危ない、危ない!
そんな厳しいイェリムコーチですが、彼女にはつらい過去がありました。病弱だったせいで、母猫に置いて行かれたのです。飼い主であり雇い主であるジムオーナーの家の前で2日間鳴き続けたのは2年前のこと。いろいろな感染症にかかっていた幼いイェリムちゃんのために、ジムオーナーは病院にかかったり酸素室をレンタルしたりと、手厚いお世話をしてくれました。
ジムオーナーのおうちには、先住猫のマリーちゃんがおり、病気のイェリムちゃんを連れて帰ることはできませんでした。そこで、オーナーはジムに酸素室を置きそこでお世話を始めたのです。ジムに通う人たちは、みんなイェリムちゃんをとてもかわいがってくれました。ある女性は話します。「イェリムコーチに会うために、前よりもジムに頻繁に来るようになったわ。でも、運動時間は40分、イェリムコーチと遊ぶのも40分くらいだから…、確かに休憩は増えたわね」。
ジムオーナーは、イェリムコーチをとても大切に思っています。「愛するイェリムに、多くは望まないよ。ただ、健康で長生きしてほしい」。
母猫に見捨てられ瀕死状態から、大切な家族と優しいジムメンバーに囲まれた暮らしへ。イェリムちゃんはきっとコーチとして恩を返したいと思っているに違いありません。