とある田舎で暮らすイラストレーターの「バナクロびチャ起き」さんは、愛犬や愛猫との賑やかな日常を漫画化。心温まる日常漫画には、大きな反響が寄せられています。

飼い主さんが漫画を描こうと思ったのは、最初に迎えた愛犬バナさん(男の子)の写真や動画には納められなかったかわいい&ユニークな姿を伝えたかったから。落書きをSNSに投稿したことが、作品誕生の原点になりました。
それぞれ過酷な日々を生き抜いて家族になった3匹
バナさんは、動物保護施設で過ごしていた元保護犬。施設内で他の犬たちは何頭かのグループに分かれて犬舎に入っていましたが、バナさんは外の犬小屋でひとり、過ごしていました。
しかし、面会時には初対面なのに、顔をペロっと舐めてくれたそう。人懐っこい姿が愛らしく、飼い主さんは2021年7月にお迎えしました。


それから、2年半ほど経った2024年3月、飼い主さんは納屋に住み着いていた野良猫のクロくんが気になるように…。クロくんは喧嘩だらけの日々を送っているようで、目の上は腫れ、膿んでいました。


日に日に傷だらけになっていくクロくん。その姿に胸が痛くなり、飼い主さんは保護を決意しました。
幸い、怪我は重症ではありませんでした。ただ、瓜実条虫やマンソン裂頭条虫などの寄生虫は一通りいて…。初めてマンソンが排出された時は、長さにビックリ。細いうどんかと思いました。
そして、2025年2月には人懐こい野良猫のチャー様(男の子)と出会いました。長毛だったため、迷子の可能性も考えて一時保護。保護後は行政に問い合わせ、聞き込みなども行いましたが、飼い主らしき人物は見つからず。チャー様は、飼い主さん宅で暮らすことになりました。


チャー様は、FIV(猫エイズ)キャリア。保護時は猫風邪を患っており、口内環境も良くありませんでした。
他の猫に噛まれたのか、保護時には耳に穴が開いていて。今も片耳は折れたような状態ですが、チャームポイントだと思っています。
チャー様には、先天性の横隔膜ヘルニアもあります。手術は難しいため、経過観察をしていますが、医師からはFIVと同じく、リスクがあることは念押しされました。

ふたりに出会って私は、今までぼんやりとしか知らなかった野良猫の世界の過酷さを実感しました。
新入り猫が大活躍!先住犬と先住猫のぎこちない仲を取り持った
愛犬と愛猫が快適に過ごせる環境を整えるため、飼い主さんは1年ほど試行錯誤。バナさんとクロくんが2匹で過ごしていた頃には、バナさんがクロくんを激しく追いかけてしまうことがあったため、ドッグトレーナーに相談もしました。

一方、チャー様のお迎え時には、そうしたバタバタがなかったそう。チャー様は初めから堂々としていたため、バナさんは興奮しませんでした。
そんなチャー様は、バナさんとクロくんの距離感を近づける架け橋のような存在にもなってくれたそうです。

実はチャー様を迎えてから、クロさんに面白い変化が。これまではバナさんから逃げていたのに、“チャー様”という虎の威を借り、通りすがりにバナさんの足を触ってみたり、何かを話しかけたりするなどし、自然と距離感が近くなっていったのです。

今では、たまにくっついて眠るくらいにまでなりました。ただ、猫たちが私に甘えているとバナさんが遠慮することもあるので、我慢させない工夫が必要だなと感じています。
保護犬や保護猫を「可哀想な存在」として描かない漫画家でありたい
猫を迎えたことで、飼い主さんは初めてキャットウォークや脱走防止柵をDIY。ペット用グッズを手作りすることの楽しさを知りました。
また、ドッグトレーナーへの相談を通して、犬も猫も彼らなりのコミュニケーション方法で争いを避け、意見を主張するためにずっと全身でおしゃべりをしているということを学んだと言います。

バナさんは数日、留守にすると、すっ飛んできて私を押し倒すほど喜びます。これは多分、私にしか見せない姿です。
一方、クロくんは飼い主さんの祖母が大好きで夜は一緒にベッドで就寝。膝に乗ったり、ナデナデを要求したりするなど、自分にはしてくれない愛情表現に飼い主さんはヤキモチを焼くこともあります。

調子乗りの食いしん坊で、おやつの袋を盗むなど手癖の悪さもかわいいクロくん
チャー様は、眉間をコチョコチョすると口が開きます。野良を経験したとは思えないくらいおっとりしていて、怒ったところを見たことがありません。
そんな3匹の個性を漫画で伝える際に心がけているのは、うちの子たちを「可哀想な存在」として描かないことです。

みんな保護犬猫ですが、今は穏やかで幸せな暮らしをしています。うちの子たちに限らず、多くの保護動物たちは過去に様々な困難があり、“かわいそうだったこと”もあると思いますが、本人たちは今を生きている。だから、今のかわいい、面白い、個性的な姿を伝えたいんです。
そう話す飼い主さんは2025年春頃から本格的に“うちの子漫画”を描くようになり、Xではバズも何度か経験。その際には保護猫・保護犬に対する世間の関心が高いことを実感しました。
Xでバスった、チャー様とのストーリー
これからも、楽しんでもらえる作品を描いていきたい。そう意欲を燃やす飼い主さんは、イラストの売上を保護団体へ寄付することもあるそうです。
心がポカポカする愛犬・愛猫漫画は、インスタグラムでも公開中。気になった方はぜひチェックしてみてください。






