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頬に傷を負った人間嫌いな子猫が激変!農場の広報部長になった元野良猫のちびちゃん

頬に傷を負った人間嫌いな子猫が激変!農場の広報部長になった元野良猫のちびちゃん

信頼関係の強さが、ひしひしと伝わってくる…。そう思わせられる、ほっこり動画をアップしたのは福岡県大牟田市にある園芸店「わたなべ花壇」を営む、こもぎぎさん。

ここは、お店で販売する花を栽培している農場。農場スタッフさんの背中でバツグンのバランス感覚を活かし、「好き」の気持ちを伝えているのは、甘えん坊でちょっぴりビビリなちびちゃんです。

実はちびちゃん、元野良猫。深い傷を負い、人間を怖がっていましたが、こもぎぎさんやお店のスタッフさんたちが愛を伝え続けた結果、人に心を許してくれるようになりました。

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顔に傷を負った子猫が園芸店の「広報部長」に

ちびちゃんが農場に現れたのは、2014年9月のこと。

当時、生後2~3ヶ月だったちびちゃんは右頬に深い傷を負っていました。

実は、その半年前、農場っ子第一号のさくらが急逝していて…。ひょっこり現れたちびは、さくらの生まれ変わりだと思いました。

猫好き人生を送るきっかけをくれた、さくらちゃん

そこで、こもぎぎさんは保護を試みることに。しかし、警戒心が強いちびちゃんは近くまで来てくれるものの、触ろうとすると逃走。ご飯をあげるようになりましたが、距離を縮められない日々が続いていました。

この頃は、「コアラちゃん」と呼ばれていた

そんな日々に変化が訪れたのは、出会って3ヶ月が過ぎた頃。妊娠を気にかけたこもぎぎさんは発情期前に保護したいと思い、ケージにご飯を置き、誘いこむことに。

そして、ある日、ついに扉を閉めることができ、捕獲に成功。しかし、ちびちゃんはすでに妊娠しており、翌年の3月、4匹の子猫を出産しました。

農場のスタッフさんは、手作りした子育て用ハウスをちびちゃんにプレゼント。

成長した子猫のうち1匹は農場スタッフさん宅の子に。他の3匹も、それぞれ里親さんに引き取られていきました。

その後、子育てハウスから出たちびちゃんは、まだ人に対する警戒心が強く、触ることが難しかったため、こもぎぎさんたちはご飯をあげ、見守る生活を継続。

しかし、避妊手術を受けてもらったことを機に、関係性に変化が。

少しずつ心を開いてくれ、触れる、抱っこできる、おんぶできる…と、みるみる変わっていきました。

こうして農場で暮らすようになった、ちびちゃんは農場長に就任。

昼間は農場、夜はお店の中で過ごすようになりました。

私も時々行きますが、通常、農場にいるのは、おんぶ動画に映っていた男性スタッフのみ。ちびにとって、農場スタッフは育ての親なのかも。甘えて膝に乗るようになり、やがて背中に飛び乗るように。農場長として、農場スタッフを癒していましたね。

そんなちびちゃんでしたが、その後、1週間ほど行方不明となり、大捜索が行われたことから、昼夜問わず、お店の中で暮らすようになりました。

初めはスタッフ以外に心を開かず、お客さんが入ってこられると机の下から何時間も出てきませんでしたが、今では常連さんがドアを開けられると、すぐにやってきて飛びつき、抱っこされています(笑)

現在、ちびちゃんはお店の広報部長として活躍中。

もちろん、こもぎぎさんの背中も大好き

お店にある花を食べる、噛む、倒すなどは一切しないお利口さん。多くの猫飼いさんやお客さんと、こもぎぎさんを結び付けてくれています。

商売繁盛に繋がればとは思っていません。ちびは、たくさんの人との出会いや繋がりを深めるきっかけを作ってくれる、招き猫なんです。

「巨大食道症」と闘うなずなくんも家族に

そんなこもぎぎさんのお店では、昨年の6月に家族となった新入り猫なずなくんも暮らしています。

なずなくんは、とある会社の前で事故死してしまった母猫が産んだと思われる子。こもぎぎさんはミルクボランティアとして、3匹をお世話することに。

1ヶ月間ミルクボランティアをした後、2匹は譲渡しました。なずなも保護後、すぐ里親さんが見つかり、名前も決定していたので、少し大きくなるまで預かる予定でした。

しかし、ミルクが上手く飲めない、すぐに吐いてしまう、体重が増えないなどの異変が見られたことから動物病院へ行くと、「巨大食道症」という病気だと判明。

一縷の望みをかけ、セカンドオピニオン、サードオピニオンに向かいましたが、結果は同じ。最終的に、かかりつけ医に3日間預けたところ、やはり「巨大食道症」であると告げられました。

食道が通常より大きく、胃のような大きなこぶが2つありました。食べたものが胃まで到達せず、食道に留まってしまうことが分かったんです。

レントゲンで調べると、液体を飲んだ時は20分で胃に到達するも、1時間後には食道に戻ってしまい、完全に胃からなくなるのには4時間もかかっていることが明らかに。

獣医師から「この子は、ベテランで1匹飼いの人でないと難しい」と告げられたため、こもぎぎさんは里親さんの事情を考慮し、譲渡を断念。

予期せぬ病気を前に頭が真っ白になりましたが、症例が少なく、症状も様々であるこの病気と闘い、この子を大きくしようと決意しました。

雑草のように、強く、しぶとく生きてほしい――。そんな願いから、名前は「なずな」に決定。

獣医師に教えてもらった通り、高い位置で食事をさせ、食後には縦抱っこをすることを徹底。毎日、ミルク状の療法食を4時間置きにあげ、食後には15分抱っこをし、なずなくんを育てました。

現在、食事は1日5回。吐く回数を減らすため、色々試しながらベストを模索しています。

固形物や水分は吐く原因になるので、流動食です。チューブダイエット ハイカロリーという流動食を8ml、ムースを4mlあげています。

また、風邪が命取りになりかねないため、室温に気を配り、なずなくんの寝床にはアンカとペットヒーターを入れ、保温。キャリーケースで移動させる際には、中にカイロを入れ、温かく過ごせるよう、心がけているのだとか。

こうした細やかな配慮もあり、なずなくんは力強く爪とぎをしたり、おもちゃで遊んだりしてくれるようになってきたそう。

とても甘えん坊で、膝の上でゴロゴロ言いながら、長時間ふみふみしてくれます。毎食後の抱っこは15分でいいと言われたけれど、30分から1時間抱いています。なずなは気持ちいいらしく、抱っこ紐に入ったままスヤスヤ。私も、つられて眠ってしまうことがあります(笑)

なお、ちびちゃんは、なずなくんの存在を認めてはいるものの、2匹の間にはまだ距離があるそう。

スタッフの協力がなければ、ここまで育てることできませんでした。周りにいるたくさんの人の愛情で、ここまでこれました。なずなは肩に乗るのは好きですが、まだおんぶは習得していません。これから2代目おんぶ猫修行をさせないとですね(笑)

そう語るこもぎぎさんは愛猫たちが仲良くなれる日を夢見て、2匹を愛し続けていきます。