背を丸く曲げ、まるで「アンモナイト」のように見える猫の寝姿は、目に焼き付けておきたいほど愛くるしいもの。そんな光景をガラスで表現しているのが、添田亜希子さん。
ガラス作家の添田さんは、透明感あふれる「にゃんもないと」を制作。
作品は、あまりにもかわいいと話題を呼んでいます!
お客さまとのやりとりから生まれた「にゃんもないと」
実は添田さん自身、大の猫好き。自宅には、優しくて食いしん坊なもなかくん(シャムミックス)、お嬢様気質のみっけちゃん(三毛猫)、そして日々、イタズラに励むかりんちゃん(キジトラ)という3匹の元保護猫がいます。
甘えっこでもある、もなかくん
手足が短く、ちょっぴりどんくさいみっけちゃん
抱っこ嫌いなのに人にくっついて眠るのは好きなかりんちゃん
しかし、もともとは猫モチーフの作品を手掛けてはおらず、器の制作に注力していたそう。
ところが、子年を迎える年末。あるお客さまから「子年だから猫は嫌い」とのユーモアを言われた際に「では、子年には猫には眠ってもらいましょう」と返答したことを機に、「にゃんもないと」の制作に励むようになりました。
初めて作った「にゃんもないと」は、みっけがモデルの三毛猫柄。キジトラのかりんが我が家に来たことで、縞柄も作り始めました。
もちろん、作品によっても異なりますが、ひとつの「にゃんもないと」を完成させるまでにかかる制作期間は1週間ほど。
柔らかいガラスを使って作業しているのは1時間ほどですが、ガラスを使える状態にし、徐冷や成形したガラスの後加工などを含めると、それくらいの期間がかかります。
最初に、吹きガラスの技法で柄を作る際は成形後を思い描きながら試行錯誤。
柄の入り方を想定しながら、作業を進めます。高熱のため、差が見えにくい色を見極めるのが、難しい。特に、縞柄は慎重になります。
柔らかく、常に動く高温のガラスを形作るのは、まさに職人技です。
やり直しができないので、顔や手を作るための窪みや耳の位置などを作る時は、特に神経を使いますね。
制作中は、猫の丸みやしなやかさをしっかりと表現するようにも気を配っているのだそう。
柄に対しての“キュン”も大切にし、ガラスならではの発色や艶を出せるように気を付けています。
現在、「にゃんもないと」は透明、白、黒、グレー、三毛、キジ縞、サバ縞、茶トラの全8種類。
一番人気があるのは、縞柄の3種類です。
縞が出る前は、三毛と透明が人気を二分していました。サビは一度制作したことがありますが、改めて柄を研究中です。
そんな「にゃんもないと」は、東京都台東区の「藝大アートプラザ」や神奈川県鎌倉市にある「手仕事雑貨店GM..」、さらに千葉県市川市の「三毛猫雑貨店」にて販売中。
ただし、いずれも常にあるとは限らないので、リクエストいただければお作りします。その他、年に何回か展示会にも出品しております。
また、神奈川県横浜市にある「ゆたか動物病院」併設の保護シェルター「犬猫サロンぷらす」でも受注生産をうけつけています。
病院との繋がりが生まれたきっかけは、添田さんの愛猫が過ごしていた保護猫カフェがクラウドファンディングを行った際、「にゃんもないと」を返礼品にしたことでした。
SNSを見てくださったサロンの方からお声がけいただきました。ガラスの猫ができたのは我が家の猫たちのおかげなので、私の作品が保護猫活動の支援に繋がるのなら、作ってきたかいがあると感じています。
なお、添田さんは購入者の声を通し、単に眺めるだけでなく、撫でる、手のひらに載せて重さを楽しむ、握って耳をツボに押し当てるなど、自分では思ってもみなかった「にゃんもないと」の楽しみ方を知り、驚きと喜びを感じたそう。
制作意欲は留まることを知らず、今年は過去に制作した「三毛柄グラス」から派生した、猫の色にとらわれない新作「Mike」シリーズを世に送り出しました。
今は香箱座りの姿を試作中。もう少し時間がかかりそうですが、完成させたいです。
そう語る添田さんの美しく、実用的な作品の数々はインスタグラムからもチェック可能。
SNSでは添田さんが過去に制作した、自身初の猫ガラス作品「(期待に胸を膨らませてしっぽをぴーんとさせている)猫のリングホルダー」や箸置きの「はしおくにゃ」、ミニボウルの「にゃばち」「こにゃばち」なども見ることができます。
洗面所などで大活躍してくれそうなリングホルダー
食事の時間がより楽しくなるにゃばち
ぜひ、これを機に涼しげで愛くるしい”ガラスの猫”をおうちにお迎えしてみてはいかがでしょうか。