成猫を保護するのには、根気と大きな愛が必要です。飼い主のnoraneko_bobさんは距離感を慎重に見極めながら、2年かけて野良のボス猫ボブくんを保護しました。

現在、ボブくんは家族に甘えたり、同居猫からのラブコールに困惑したりとマイペースな日々を送っています。
見知らぬ大きなボス猫が自宅近くに現れて…
もともと地域猫を見守り、個人で猫を保護していた飼い主さん。2022年の夏頃、自宅周辺に見たことがない猫がいることに気づき、監視カメラを設置しました。
すると、カメラがとらえたのは大きな体のボス猫さん。
それから数ヶ月後の2022年9月、パトロール中のボブくんと初対面しました。
次に来る猫の名前はエリザベスにしようかな、なんて思っていたら、どう見てもエリザベス感が皆無な顔も体も大きい猫に出会ったんです(笑)
ボブくんは猫用おやつで呼ぶと、すぐ近くへ。他の場所で、ご飯を貰い慣れている――。そう思った飼い主さんは緊急性を感じなかったため、ひとまず様子見することにしました。
保護しようとまでは考えていませんでしたが、ご飯をあげ始めた以上、命あるものには最後まで関わらないといけないとは思っていました。
緊急レスキューした地域猫の死が「保護」の決め手に
ところが、予想外なことにボブくんが飼い主さん宅へやってくる頻度は徐々に増えていきました。最初は3日に1回だったのが2日1回に。やがて、1日2回、顔を見せてくれるようになったのです。
ボブくんはボス猫らしく堂々としており、手から直接おやつを食べてくれることも。ただ、距離感を少しでも間違えると逃げてしまいます。
そのため、飼い主さんは慎重に距離感を見極めつつ、時間をかけて絆を育んでいきました。交流する中では、塀の上で後ろ足を何度もケリケリするというユニークな「お見送り行動」を見せてくれたこともあったそうです。
しかし、2023年2月頃、ボブくんは3週間ほど姿を見せなくなってしまいました。不安でたまらなくなった飼い主さんは、保護やTNR(※野良猫に避妊・去勢手術をして元の場所に戻す活動)を検討するようになったそう。
出会いから1年ほど経っていたその頃には、同じ部位に怪我を負ったり、傷の治りが悪かったりするなど、ボブくんの加齢を感じるようにもなり、心はより揺れました。
また、ボブくんは2024年冬に再び、2ヶ月間姿を見せなくなったそう。心配し、保護をより悩むようになった飼い主さんにとって決め手となったのは、元地域猫のメアリーちゃんの死でした。
2024年1月27日に亡くなった、元地域猫のメアリーちゃん
メアリーは体調が悪そうだったので急遽、保護しましたが、1週間でお空へ行ってしまって…。懐いてくれていた子が亡くなってしまったことがとても悲しく、もう同じような経験はしたくないと思い、ボブを保護しようと思いました。
2年かけて保護が成功!初めての家猫ライフへの反応は…?
慎重派のボブくんに初めて触れられたのは、出会いから1年3ヶ月ほど経った頃でした。おやつでごまかしつつではあったものの顎下を撫でることができ、飼い主さんは感動したのだとか。
ゆっくり距離を縮め、出会いから2年後に保護は成功!いきなり自由に室内を楽しんでもらうのは難しいだろう。そう考え、ボブくんの体に合った大きなケージを用意。まずは、ケージを安全な場所だと認識してもらうことにしました。
トイレも大きなものを用意しました。ケージでの生活に慣れたら少しずつ行動範囲を広げつつ、外が見える場所や隠れられる場所を部屋の中に作りました。
お利口さんなボブくんはケージ内で暴れたり、部屋の中へ出たがったりすることもあまりなかったそう。トイレの失敗もなく、ご飯もしっかり食べてくれました。
しかし、おやつがない状態ではなかなか触れるようにならず、動物病院へ行く時にはケージからキャリーケースに移す作業に悪戦苦闘。
初めて見るものや入ったことない部屋に対しては慎重なタイプ
なお、ケージの段を上るのに失敗した姿を見て飼い主さんが近づいた問には、強烈な威嚇でボス猫の貫禄を見せました。
これがボス猫の迫力や!と言わんばかりのシャー。迫力負けし、怖い…と思いました(笑)
ただ、ケージから出て、そばで一緒に暮らす時間が長くなっていくと、かわいい行動をたくさん見せてくれるように。朝には、トイレ掃除や水の交換が終わった飼い主さんに「お尻トントン」を要求するのが日課です。
男の人はちょっぴり苦手
ご飯を出しても、お尻をトントンされるまで来ません。私が本気で忘れていると、鳴いて“待ってるぞアピール”をします(笑)
甘えることを覚えてきたのかも。ボブくんのかわいいアピールを見るたび、飼い主さんはそう感じて嬉しくなります。
同居猫からラブコールを受けつつ、穏やかな日常を過ごす
長年、外で暮らしてきた成猫の中には完全室内飼いがストレスとなり、自分の毛を食いちぎるなどの自傷行為などが見られる場合もあります。
しかし、ボブくんの場合は「自分で決めて保護された」と感じているようで、外に出たい欲がほぼなく、完全室内飼いが成立しているのだとか。
基本的には寝ていて、遊びも省エネ。自分の意思で歩いている時は邪魔しないように心がけています。
そんなボブくんの貫禄ある漢っぷりに惹かれたのが、同居猫のキャサリンちゃん。愛が募りすぎてボブくんから猫パンチをされても、めげずに「大好きアピール」をするのだとか。
触らせてくれ、抱っこもできるのは奇跡だと思っています。これからも、毎日ゆったり過ごしてほしい。
体を張って、ボス猫としての威厳を必死で守らなくてもよくなったボブくん。頑張ってきた分、これからは気を緩めて穏やかな日々を満喫してほしいものです。