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猫ブローチや肖像画みたいな羊毛猫がかわいい!猫好き羊毛作家が生み出す“悶絶必至”な羊毛フェルト作品

猫ブローチや肖像画みたいな羊毛猫がかわいい!猫好き羊毛作家が生み出す“悶絶必至”な羊毛フェルト作品

小さい頃から猫と暮らしてきたという猫好きの麻子さんは心の中にある猫愛を活かして、アイデアが光る作品を生み出している羊毛フェルト作家。

見た瞬間に顔がほころぶユニークな作品の数々が、インスタグラムで話題になっています。

大好きな愛猫を作りたくて羊毛フェルトの世界へ

8年ほど前、麻子さんは猫を作りたいと思い、羊毛フェルトにチャレンジ。歴代の愛猫たちと現在の愛猫たちを作って並べることを目標に、技術を磨いていきました。

作品を作る中で心がけてきたのは、自分が納得できるまで作りこむこと。特に瞳は表情を左右するため、重要なのだとか。

私は刺し固めて作るタイプなので、刺し穴が表面にできる限り残らないようにし、柔らかい雰囲気や猫特有のラインを楽しんでもらえるようにも気を配っています。

代表作のひとつである「額猫」は大きなサイズの猫を作りたくて、誕生。

イメージしたのは、音楽室に飾ってある音楽家の肖像画。ふてぶてしさを表現するため、「額猫」の目や瞳孔は、細くしたそう。

威厳がある雰囲気が猫の仏頂面とリンクしていて面白いのでは…と思ったんです。

また、フレームからひょっこり身を乗りだしている姿が愛くるしい「猫がいる風景」は愛猫やSNSの猫、猫の写真集などで穴からのぞき込む猫の姿に心惹かれ、思いついた作品。

上半身の立体なので、猫ってこんな表情や恰好、仕草をするよねということを感じてもらえるよう、ポーズを試行錯誤しました。

こちらは使用しているフレームにも、こだわりが。奥行が深すぎると体が隠れすぎてしまい、逆に奥行きが足りないと立体感が出ないため、色々なものを試し、今のフレームに辿り着いたのだそう。

もちろん、物によっても異なりますが、この作品の制作時間は約25時間。

瞳の制作も含めると、もう少し時間がかかります。オーダー猫は、約30時間かかりますね。

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愛猫との攻防戦も経て生み出され続けるユニークな羊毛猫たち

制作中には、愛猫からの“構ってアピール”を受けることも。一時期はゆずちゃんが羊毛作品に興味津々で、目を離した隙に作品を持ち出し、破壊。作品の誘拐にハマり、保管している引き出しを開け、強奪することもあったそう。

愛猫のゆずちゃん

ダメなことだとは理解しているようで、夜中にこっそり、必死に引き出しを開けようとする姿を何度も目撃しました。

そこで、麻子さんは作業中に席を立つ時には片付けを徹底し、保管している引き出しを開けられないよう、厳重に管理。現在は誤飲がないように見守りながら、定期的に羊毛フェルトボールで遊んでもらい、満足してもらっているのだとか。

そんな攻防戦もあった羊毛作家人生の中で、特に印象に残っている作品は、制作を始めて間もない頃、初めてデザインを考えて作った白猫と黒猫。

まだ難しい形を作ることができなかったので、できる限りシンプルでかわいいものを作りたいと考え、思いつきました。今見ると、やはり雑な仕上がりですが、かわいくて思い入れがあります。

そして、実家の亡き愛猫を再現した全身立体作も忘れられない一作。

実家には3匹の猫がいましたが、2匹が高齢で亡くなってしまったので、両親に喜んでほしくて、初めて全身立体作の制作にチャレンジ。懸命に作りました。

猫への愛情を込めながら、様々な毛色の猫作品を制作してきた麻子さん。

キジトラやシャムトラ、サビなど毛色が複雑な子や被毛の濃淡がカギとなるロシアンブルーなどのグレー猫、表情が見えづらくなる黒猫など制作が難しい猫も、「とにかく猫を表現する」という自分との約束を大切にしながら一針入魂。オンリーワンな羊毛猫を生み出し続けています。

オーダー作品の場合は、モデルの猫さんにできる限り似るように作るのはもちろん、その子の雰囲気やオーラも表現できるように心がけているんです。

そう語る麻子さん、実は羊毛フェルトの制作を機に嬉しいご縁を得たこともあったよう。それは、子猫を保護した時のこと。

自宅に迎えることが難しかったため、里親を探していたところ、以前オーダーしてくれた方が名乗り出てくれたのだとか。

はるばる県外から迎えに来てくださり、子猫を思ってくださる気持ちに感動しました。今も連絡を取っており、元気な姿を見せてくださるので嬉しいです。

そうした出会いも経験した麻子さんにとって、日頃から応援してくれるファンの方はかけがえのない存在。

楽しんでもらえたり、喜びの声を聞かせていただいたりすると嬉しくて、頑張ろうという気持ちが膨らみます。本当に感謝です。

いつか、100匹ほどの猫作品を引き連れて個展を開いたり、羊毛猫を主役にして風景の一部を切り取ったような物語性のある作品を作ったりしたい。そして、羊毛フェルトというジャンルに留まらず、新しい世界に繋がるような何かを羊毛猫を通して行いたい。

そう夢を膨らませる麻子さんの想像力から、今後もどんな二度見必至な作品が生み出されるのか、期待が高まります。