最近、南海トラフを代表とした大型地震の発生が危険視されていますね。
実は私、2011年に東日本大震災を経験したのですが、当時はペット防災について全く準備をしていなかったせいで、震災期間に猫たちを危険な状態にさらしてしまったことを悔やんでいました。
現在は防災グッズをあらかた準備したものの、「いざ猫と避難」となったときに、安心して使えるグッズはまだまだ少ないのが現状です。
そんな中で、日常から防災までずっと寄り添うくつろぎ空間をコンセプトとした猫防災グッズ『どこでもネコハウス』の存在を知りました。
今回は、その開発者・伊藤さんに、誕生のきっかけや設計へのこだわりについてインタビューさせていただきました。
『どこでもネコハウス』とは?震災・防災に役立つ猫グッズ
『どこでもネコハウス』は、猫と一緒に避難するときや、日常のくつろぎスペースとして使える 折りたたみ式のキャリー&ハウス。
震災を受けた時に避難所で生活するシーンだけでなく、ふだんから猫ちゃんが安心できる居場所として活躍してくれる猫グッズです。
◆どこでもねこハウスの魅力ポイント!
・軽くて持ち運びやすい
・猫さん2匹が入れる広々空間
・小窓つきなのでお世話もしやすい
・猫のくつろぎやすさを意識した設計
・テント用補修パッチつきで長く使える
開発者の伊藤さんは、防災士の資格をもっており、日頃からの防災対策や避難など、ペット防災に関するノウハウを熟知している方。
そんな伊藤さんの丁寧な工夫がいっぱい込められた『どこでもねこハウス』は、日常生活の中で自然と使える画期的な防災グッズです。
震災の経験から生まれた『どこでもネコハウス』とペット防災の重要性
伊藤さんが猫防災に本気で取り組もうと思ったのは、2018年に起きた大阪北部地震。
当時、猫用の防災グッズはほとんどなく、「猫と一緒に避難する」という考え方さえもあまり浸透していなかったそうです。
いざ、猫と逃げるとなったときに、本当に頼れる道具がないなら、自分で作るしかないと思ったのがきっかけです。
そこから折りたたみ式の『どこでもネコトイレ』、猫のための『防災DXセット』などを次々と形にしていきました。
セットの1つとして、市販の折りたたみケージを取り扱ってきましたが、実際に使っていて「もっとこうだったらいいのに!」という気持ちがあふれてきたので、今回どこでもネコハウスを作る流れとなりました。
避難所でも安心!『よしよし小窓』と丈夫な生地へのこだわり
設計で一番こだわったのが、両側面に設けられた『よしよし小窓』。
掃除やお世話のときに、猫をなでながらケアできる小さな窓ですが、「お世話しやすいけど脱走しにくい」絶妙なサイズと位置を追求した結果、国に認められ、新たな発明品として実用新案を取得できたそう。
さらに、生地は軽くてしなやかで、丈夫な造り。リュックに入れて運べる軽さと、猫の爪にも負けない強度を兼ね備えています。
万が一、穴が開いたとしても、キャンプ用テントにも使われる『透明補修パッチ』で簡単に直せる工夫もあるのは嬉しいですね。
防災時に役立つ『どこでもネコハウス』をいざという時に使うポイント
ペットの防災グッズで一番難しいのは、いざという時に中へ入ってくれるかどうか。
いきなり避難のときだけ入ってもらおうとすると猫ちゃんも警戒してしまうので、日常的におうちの中でくつろげる場所として置いておき、好きなおやつやお気に入りの毛布を入れて安心できる空間にしてあげると良いですね。
「ここに入れば大丈夫」という成功体験が積み重なり、いざという時にもスムーズに使ってもらえるようになると思います。
開発者の願い――震災や避難所でネコハウスが活躍しない未来
伊藤さんが最後に語ってくれた一番の願いは、次のとおりでした。
本当は、どこでもネコハウスが活躍しないのが一番です。災害時でも自宅で普段通りに過ごせることが、猫にとっての幸せですから。
それでも、どうしても避難しなければならないこともあるかと思うので、少しずつでも準備を進めていく必要があるかなと思います。
防災では、グッズはもちろん避難ルートや連絡手段など、さまざまな準備が必要となります。
災害は正確にいつ来るか予測できないからこそ、”備えあれば患いなし”という言葉があるように、早い段階からしっかりと準備しておくことが、私たちと猫ちゃんを守るカギになるでしょう。
そんな伊藤さんが今後あったらいいと感じているものは、ネコハウスごと運べるカート。
たしかに、避難する時は私たち人間もリュックやショルダーバッグなどを抱えることになるので、キャンプ用のワゴンのようなものに乗せられれば、手荷物がいっぱいであっても安心でスムーズに避難できそうですね。
ペット防災の備えに!『どこでもネコハウス』で“もしも”の安心を
伊藤さんは奈良県を拠点に、ご夫婦で猫用品ブランド『ナラネコ』を運営しています。
ご自身も保護猫たちと暮らしながら、防災士として活動している伊藤さん。お話を伺うと、商品数は多くないものの、「猫と暮らす中で本当に必要だと思ったものだけを、時間をかけて丁寧につくっている」と語ってくれました。
ナラネコのはじまりは、保護猫カフェでのボランティア活動から誕生した『キャットタワーリペアロープ』。いまも多くの猫たちに愛用されているそうです。
そして今注目を集めているのが、防災グッズ。『どこでもネコトイレ』をはじめ、災害時に役立つアイテムが猫飼いさんたちに支持されています。
”猫の防災”という、まだ大手企業が踏み込まないニッチな分野だからこそ、飼い主さんや猫の“ちょっと困った”に寄り添えるものづくりができる。
そんな信念を胸に、伊藤さんご夫妻は小さな声をすくい上げながら、これからも猫と人の安心を形にしていくそうです。なお現在、伊藤さんはMakuakeにて『どこでもねこハウス』のサポーターを募集しています。
少しでも興味がある方や伊藤さんの想いに共感してくださった方は、ぜひチェックしてみてくださいね。