企画

『茶トラのやっちゃん』の作者・類さん宅に新しい家族が!パワーアップしたドタバタ多頭飼いライフ

おはよう、シュガーマフィンたち――。海外で恋人を呼ぶ時に使われる、そんな呼称を愛猫に向けるのは漫画家の類さん。

類さんは、人気猫漫画『茶トラのやっちゃん』(KADOKAWA)の作者。

やっちゃんとの出会いや、その後にお迎えしたちいちゃんとのドタバタな日常を描いた同作は猫好きの心を掴んでいます。

そんな類さん宅に昨年、家族の仲間入りを果たしたのが、ベンガルのももちゃん。

今回はコミックエッセイ発刊後のやっちゃん&ちーちゃんの様子や、新たな家族ももちゃんとの出会いの経緯を伺いました。

コミックエッセイ発刊後の2匹の仲は…?

茶トラのやっちゃんは、類さんを猫好きの世界へ引きずり込んだ張本人。

ちーちゃんは、多頭飼いライフの大変さや喜びを教えてくれた愛猫です。

流れた月日の分だけ2匹の絆は深まり、お互いがお互いにとって大切な存在に。

譲れないものを巡り、たまにケンカをすることはありますが、グルーミングをしたりくっついて寝たりして、日々、仲を深め合っています。

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片方が動物病院などで不在の時は、あたりをキョロキョロ。お互いが、ここにいて当たり前の存在になってきているのかなと思い、嬉しいです。

2匹は互いのことだけでなく、類さんのこともかけがえのない存在だと認識。保護猫のやっちゃんはお迎え当初、威嚇が激しく、人間に対して強い警戒心を持っていましたが、今では抱っこが大好きな甘えん坊さん。

気分が高ぶると、スリスリし、耳を舐めたり甘噛みしたりと積極的にスキンシップ。分離不安は少し改善され、類さんが帰宅すると、余裕ある軽快な足取りで迎えてくれるのだとか。

実家にいた頃は仕事から帰ると、数週間、離れ離れだったかのような熱烈なお出迎えをしてくれていたのに…(笑)

一方、ちーちゃんは、類さんがベッドに入ると必ず便乗。

胸元に寝そべり、顔のマッサージを催促してきます。

ちーちゃんは、感情が分かりやすくなりました。子猫の頃はどこでも寝たり食べたりできる強メンタルの持ち主でしたが、今は食べる場所や寝る場所の好みがはっきりしてきたようです。

甘え方ひとつでも、個性が感じられてたまらない。そう語る類さんは毎日、どれだけ想っても愛情が募っていく、シュガーマフィンたちと過ごせる幸せを噛みしめています。

飼育できなくなったベンガルのももちゃんが家族に仲間入り

そんな類さん宅に新しく家族として加わったのが、ももちゃん。

ももちゃんは、ペットショップで育った子。とある家庭に迎え入れられたものの、飼い主さんは様々な問題を抱え、お世話することが困難に。そこで、知人から連絡を受けた類さんは、引き取ることにしました。



元飼い主さん宅で、ももちゃんはほぼケージの中で生活。獣臭がし、猫風邪をひいている状態でした。

金銭的な事情からか、ワクチンや避妊手術も行われていなかったため、類さんは正式に譲り受けた後、治療や手術などを全て済ませたそう。

元の飼い主さんは、ももちゃんのことを「人間が大好きな子」と語っていましたが、類さんが受けた第一印象は真逆。

しかし、その裏には複雑な心境があったのだろうと類さんは予測します。

私は正直、元飼い主さんに対して悪いイメージを感じずにはいられませんでしたが、きっと、ももちゃんからすると元飼い主さんと元のおうちは何にもかえられない大切な居場所だったのだと思います。だから、勝手に引き離そうとしている私が怖くて、攻撃してしまったのかなと。

感じた罪悪感の分、責任を持って幸せにしたい。そう思った、類さんはやっちゃんを保護した時のように、極力音を立てない、おだやかに高めの声を出して話しかける、目を合わさないようにするなど工夫。

尖ったナイフのようなももちゃんの警戒心が解けるまでには時間がかかりそうに思えましたが、意外にも初めて口にした猫用おやつで陥落。

やっちゃんよりも凶暴でしたが、おやつであっさり警戒心をといてくれた時は体の力が抜けるようでした(笑)

第一関門をクリアした類さんは、その後、さらなる難関「猫同士の顔合わせ」にチャレンジ。ももちゃんは猫嫌いのため、ケージ越しの顔合わせから始めました。

すると、はじめはももちゃんの威嚇がすごかったものの、1週間後にはグルーミングが見られるように。

私がやっちゃんやちーちゃんをかわいがる様子を、毎日ケージ越しに見続けたからか、敵ではないと理解してくれたようです。

しかし、新しい猫を迎え入れたことにより、繊細なやっちゃんの体に後から異変が現れる可能性があったのと、なかなかケージ以外で活動しないももちゃんを気遣い、類さんは1〜2ヶ月トライアルして、じっくり様子を見。

すると、2ヶ月経っても、やっちゃんの体調に変化はなく、ももちゃんはトイレ目的のみでケージを使用するようになったため、類さんはケージを撤去。ももちゃんに部屋で好きなように過ごしてもらうようにしました。




ももちゃんは食べることが大好きなタイプなので、やっちゃんやちーちゃんと同じ部屋にいる時におやつを与え、少し慣れてきたら3匹そろった時にごはんをあげるようにしました。

「3匹そろっているといいことがある」と思ってもらう仲良し作戦は類さんの努力により見事、成功したのです。

誰かの意識を変えるきっかけを描きつづけたい

類さんが思い描いていた3匹の関係性は、おうちにやってきた順に強い力関係。しかし、理想とは裏腹に、3匹は三つ巴のような関係性を築いたのだとか。

今では諦め、誰かが一方的に弱かったり、損をしたりすることがなければいいとポジティブに捉えています。

とはいえ、3匹の仲はよく、やっちゃんとももちゃんは、ちーちゃんを挟んでグルーミングすることも。

類さんは朝、ベッドから起き上がった時に3匹がお互いのおしりを舐めたくて、ぐるぐる回る姿に癒されてもいます。

猫飼い初心者から数年で、多頭飼いになった類さん。これまでを振り返ると出てくるのは、猫たちへの感謝だと言います。

やっちゃんを迎えるまでは、会社に通いながら愛犬・ウッちゃんと実家で暮らし、祖父母の介護。猫を飼うという選択肢は、ありませんでした。今は猫が3匹の一人暮らしでフリーランス。真逆で、なんだか面白いです。

こうした暮らしになり、ちーちゃんやももちゃんをお迎えできたのは、もとを辿ると、やっちゃんのおかげ。だからこそ、類さんはこれまで考えられなかった今を築き、支えてくれている愛猫たちに対し、常に「生きてくれてありがとう」と感謝しています。

お世話は大変ですが、毎日、私を頼ってくれることに嬉しさを感じます。1匹も欠けてはならない、大切な家族です。

そう語る類さんは、ももちゃんのエピソードを通し、改めてペットとのかかわり方を考えてほしいと願っています。

「きっと誰かがもらってくれる」と、安易にペットを手放す方には家族や友達、恋人、趣味など色んな拠り所があるかもしれませんが、ペットにとって頼れるのはあなただけだったんだよと伝えたい。

そして、安易に動物を捨てる方を目にした時には命を救うためにも非難より、支援の手が差し伸られる社会であることを願っています。

ももちゃんのエピソードを公開した時、元飼い主さんを否定するご意見が多く、ごもっともだという気持ちではあったのですが、同じような方が目の前にいた場合、罵倒ではなくアドバイスやヒントをくれる方が増えたら、変わる未来もあるのではないかと思うのです。

軽率にペットを売ることも買うことももちろん悪いこと。でも、小さなきっかけで誰かの意識が変わることはたしかにあります。

私は偉そうに、こんな漫画を描いていますが、かつては知識がなく、放っておけないという衝動だけで、やっちゃんを保護しました。ですが、家族の協力や、ペットを飼っている親族、友人たちからのアドバイスにに支えられ、今も色んな方にご意見をいただき、気づくことが多々あります。

そう話す類さんは自身が他者からの助言で救われてきたからこそ、3匹との思い出を漫画にすることで、次は自分が色んな人の意識を変えるきっかけを作れたら…と考え、今日も作品制作に励んでいます。

類さんが配信する微笑ましい愛猫物語。そこには無限の猫愛と、小さな命を守るヒントが隠されているのです。