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山形県の「羽前小松駅」には猫駅長が!迷い猫から駅長になった“しょこら駅長”

山形県の「羽前小松駅」には猫駅長が!迷い猫から駅長になった“しょこら駅長”

山形県東置賜郡にある、「羽前小松駅(うぜんこまつえき)」は大正15年に米坂線が開通すると同時に開設された、歴史ある駅。

そんな古き良き駅で駅長を務めているのが、ショコ・ラ・ダリヤくん(通称:しょこら駅長)。

「しょこら駅長」は迷い猫だったところを保護され、2019年10月から猫駅長として活躍するようになりました。

迷い猫だった長毛猫が愛される「猫駅長」に

令和元年の5月。羽前小松駅の東口駐車場に、1匹の長毛猫が出現。「このままだと車に轢かれるのでは…」と心配したタクシーの運転手たちから、駅に連絡が入りました。

それを受けたのが、後にしょこら駅長のお世話係に就任する細谷さん。自宅で2匹の猫と暮らすほどの猫好きさんだった細谷さんは早速、猫を駅内に誘導し、保護しようと試みました。

そしたら、事務室内にすんなり入ってきてくれたので、その場で保護し警察、保健所へ連絡。拾得物としての届出をして、初期医療のため、動物病院へ連れていきました。

家に猫がいることから、すぐに連れて帰ることは難しかったため、細谷さんは駅舎での保護をJR米沢駅に懇願。

許可をもらうことができ、駅事務室で暮らしてもらいながら、飼い主さんを探すことにしました。

駅に来て間もない頃のしょこら駅長

拾得物届けの期限は、3ヶ月。細谷さんは自宅に迎え入れることも考えながら、チラシを作成し、snsなどでも呼びかけましたが、元の飼い主さんを発見することはできず…。

そして、3ヶ月もの間、駅の事務室で愛くるしい姿を披露していたしょこら駅長は駅を利用するお客様たちから認知され、「猫駅長さん?」と聞かれるように。

SNSでの発信にも反響が多く寄せられました。しょこら駅長は、私たち駅職員の思いもよらぬところで、ファンを多数獲得していたんです。

その声に推されるように、令和元年10月12日、しょこら駅長は「羽前小松駅」の猫駅長に就任。

拾得物届けの名義人だった細谷さんは預かり期間が過ぎ、所有者となったため、お世話係を務めることとなりました。

もともとバカがつくほどの猫バカですので、むしろ立候補です!(笑)

ちなみに、その後、しょこら駅長の駅長就任発表が新聞に掲載されたことを機に、元飼い主さんと繋がることができたそう。

そして、様々な話し合いの結果、しょこら駅長は細谷さんと羽前小松駅に託して貰えることとなったのだとか。

この一件を通し、元の飼い主さんと細谷さんは猫友に。しょこら駅長は猫好きを結びつける、架け橋にもなったようです。

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ツンとデレを使い分けるしょこら駅長の1日

平日、羽前小松駅の窓口が開くのは7時45分。しょこら駅長は室温調整が済む9時30分頃、出勤します。

まずは、職員が駅の通路や待合室の掃除をしている姿を監視。

その後、ハーネスを装着して見回り業務を経た後、事務室に戻り、ブラッシングで身なりを整えて窓口へ。

受け付け業務に飽きると、指定席になっている「おやすみベッド」へ移動し、“睡眠”という業務に邁進します。

だいたい1日を寝て過ごしていますが、ご飯や遊びを気まぐれに催促し、駅員を翻弄します。

勤務時間は日によって変動がありますが、平日は9時30分~18時ぐらい。土日祝の場合は9時30分~16時30分ぐらいなのだとか。(※土休日は駅窓口の営業時間が16:30で終わるため)

しょこら駅長は基本的には事務室内で過ごすため、細谷さんはエアコンなどを活用し、一年中同じくらいの室温、湿度で過ごせるように調節。

気温や天気に合わせて、移動用駅長ハウスの内装を変更してもいます。

移動用駅長ハウス

ワクチン接種や健康診断など、積極的に動物病院へ赴くようにも心がけています。しょこら駅長はストラバイト結晶化しやすい体質のようで心配なので、特におしっこ検査はこまめにしています。

勤務後は細谷さんと共に自宅へ。リラックスして1日の疲れを癒すのかと思いきや、同居猫たちと遊び、夜中まで騒がしくパーリナイしているのだとか。

それまでは「羽前小松駅」が何県にあり、何線なのか知らなかったというお客様が、しょこら駅長を通じて山形県、川西町を知ってくれて、会いに来ていただける機会が増えました。

そう語る細谷さんは、しょこら駅長が駅に来てくれたことによって、他駅の動物駅長さんたちとの交流やタイアップができたことにも喜びを感じました。

山形県の私鉄フラワー長井線では、タイアップのヘッドマークを付けた列車が走りました。

サービス精神旺盛なしょこら駅長は日々、お客さんがスマホのカメラを向けると、様々な表情を見せ、心を魅了。

お客様には、顔芸が得意な駅長だと思われているようです。かっこいい、かわいい動物駅長さんはたくさんいますが、顔は2枚目、中身は3枚目を売りにしている、しょこら駅長です(笑)

そんなしょこら駅長には細谷さんしか知らない、秘密が。

SNSの中とお客様の前では、おどおどフェミニンボーイですが、職員の前ではツンとデレを使い分ける小悪魔ボーイ。職場では私にも塩対応ですが、帰宅するとデレてくれる。そのギャップに、毎日やられています。

ただし、しょこら駅長には大好きなタクシードライバーさんがおり、その人が顔を見せに来ると熱烈なスリスリ&デレデレで大歓迎するため、細谷さんは日々、嫉妬心を燃やしているのだとか。

魅力満載なしょこら駅長との窓口でのふれあいは職員立ち会いのもと、可能。

細谷さんがおり、しょこら駅長の機嫌がよい時であれば、安全確認の後、待合室でのふれあい時間を取ることもできるのだとか。

ただ、怖がる様子だった時は申し訳ありませんが、御遠慮いただくこともあります。写真撮影も可能ですが、フラッシュは厳禁です。職員立ち会いなので大丈夫だとは思いますが、勝手に食べ物をあげるのもやめて頂くようにお願いをしております。

多くの人から愛され、猫ファーストな環境の中で業務を全うするしょこら駅長。迷い猫だったしょこら駅長は辿り着いた「羽前小松駅」で幸福行きの電車に乗ったようです。