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人生に絶望していた時に“生きる意味”を教えてくれた…歌舞伎町で出会った野良猫のたにゃと家族になって

人生に絶望していた時に“生きる意味”を教えてくれた…歌舞伎町で出会った野良猫のたにゃと家族になって

人生に絶望し続けると、生きることに疲れてしまうもの。しかし、そんな時、そばに寄り添ってくれるぬくもりがあったなら、その存在と共にもう少し生きていこうと心を立て直せることがあります。

愛猫のたにゃくん

kabukinoranekoさんはまさに、そんな経験をした飼い主さん。歌舞伎町で必死に生きてきた、たにゃくんと出会い、生きることに対する想いや目に映る日常が変わりました。

心身ともにボロボロだった時に1匹の白猫が目の前に現れて

飼い主さんは、もともと歌舞伎町付近の会社に勤務。しかし、コロナ禍によって会社は大打撃を受け、業績が悪化。理不尽なことに、飼い主さんはコロナを引き起こしたかのように責められたり、人格否定をされたりし、心身ともに限界な日々を送っていました。

朝4時に起きて、深夜まで仕事をする毎日。コロナ禍が少し落ち着いてきたかと思えば、しばらくしてまた感染者が増加する繰り返しの中、責め続けられ、精神的に辛くなって何もかも捨てて逃げ出したいと思うようになりました

そんなある日、普段通り、駐車場から車を出そうとした時、目の前に1匹の猫が。それが、たにゃくんでした。

歌舞伎町に野良猫はあまりいないので、驚きました。落ち込んでいる僕の顔をじーっと見つめてきたんです。

なんか、顔についてるか?情けない顔だろ…。そう話しかけ、飼い主さんは近くのコンビニで猫缶を購入。これがきっかけとなり、駐車場でたにゃくんにご飯をあげるようになりました。

雨の日には、傘を差しながらご飯をあげることも。

やがて、その駐車場にビルが建設されることとなったため、たにゃくんを保護。一緒に暮らすことにしたのです。

保護当初は、ケージで過ごしてもらうことに。夜鳴きは一切ありませんでしたが、夜中に弱々しい声で鳴いたことが一度だけあったそう。

何日もご飯を食べませんでした。ごめんな、不安だよな。歌舞伎町に帰りたいよな…という気持ちになりました。

しかし、数日後、ミルクを飲んでくれた痕跡を見つけ、飼い主さんはたにゃくんがおうちでの生活を受け入れてくれたと思ったそう。一緒に暮らす覚悟を、改めて固めました。

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これが、たにゃの答えだ。僕も頑張ろうって思ったんです

これまで猫と暮らしたことはなく、知識もあまりなかった飼い主さんは歌舞伎町という広い街で暮らしていたたにゃくんの心中を想像。行動範囲が狭くなったことでストレスを感じないよう、Twitterでもらったアドバイスを参考にしながら、快適な環境づくりを行っていきました。

初めの頃はベッド下に隠れる日々

いい付き合い方は猫の性格によって様々なんだろうなと思ったので、僕の場合は常に話しかけて声を覚えてもらい、やりたいことを邪魔せず、自分からグイグイ距離を縮めないようにしました

帰宅時、たにゃくんが留守中にくつろいでいた場所を知ると、そこにクッションを置き、さらに居心地がよくなるように工夫したことも。たにゃくんが伸び伸び暮らせるよう、様子を見ながら環境を改善していきました。

玄関前に脱走防止柵も設置

安全を気遣い、猫心に寄り添った気配りをする中で、たにゃくんの心に変化が。ある日、突然ベッドの下に隠れることをやめ、部屋の中で堂々と過ごしてくれるようになったのです。

めちゃくちゃびっくりしました。あれ?どうしたのよ、急に…って。信用してくれたんだと感じ、嬉しかったです。

以後、たにゃくんはご飯を催促したり日向ぼっこをしたりと、のびのびと生活。それでも、飼い主さんは今でもなお、たにゃくんに呼吸を合わせて生活することを意識しているのだそう。

以前は外を眺めている姿を見ると、家の中に閉じ込めてしまっているように感じて申し訳なかったのですが、最近はリラックスしてくれる姿を見て、これでよかったんだと思えるようになりました。

ご飯の催促や威嚇が個性的すぎる愛猫にキュン!

たにゃくんには飼い主さんしか知らない、かわいさがたくさん。そのひとつが、ご飯を催促する時だけ、モジモジすること。

これは、野良猫時代から。近寄ってきて足踏みし、しゃがんだり起きたりを繰り返してモジモジします。なぜか申し訳なさそうにアピールするのが、かわいい

また、威嚇をする時の距離感がなぜか近いのも、たにゃくんの愛くるしさ。シャーといいながら近寄ってくる愛猫を見て、飼い主さんは思わず「どっちなんだよ」と突っ込んでしまうのだとか。

多分、僕からは行くけど、お前からは来るニャーって言っているんでしょうね(笑)

個性豊かなたにゃくんとの生活は保護猫や野良猫など、これまで知らなかった世界に思いを馳せるきっかけにもなりました。

思い出を記録しようと思って始めたTwitterで応援してくれる人が増えると同時に、地域猫や保護などの言葉をよく目にするようになり、色々な形で命と向き合っている人がいることを知りました。

もしかしたら、自分のアカウントが何かの役に立つ時がくるかもしれない。そんな時、命の手助けになりたい。そして、愛猫との楽しい日々の記録を見て、保護猫っていいなと思ってくれる人が増え、ひとつでも多くの命が救われてほしい…。

そんな思いを抱きながら、飼い主さんは、たにゃくんとの日々を発信し続けています。

今後は、売り上げの一部を動物保護活動に寄付できる飲食店や子ども食堂を営みたい。そう意欲を燃やす飼い主さんはたにゃくんとの出会いを通じて、生に対する想いが変わりました。

生きたいと思っても叶わなかった人や動物の分まで必死に生きるのが礼儀かなと。生きることは本当に大変です。でも今、戦争している国もある。それに比べたら、自分なんて何が大変だ、生きているだけで十分に幸せで贅沢すぎる。これ以上のことなんてないんだと思うようになりました。

「大丈夫、きっとうまくいく」が口癖だという飼い主さんは、この先もそんなポジティブな言葉を繰り返しながら、愛猫と共に生きる幸せを噛みしめていきます。