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阪神淡路大震災での教訓を胸に秘めて…被災経験者が愛猫を守るために心がけている“防災法”

阪神淡路大震災での教訓を胸に秘めて…被災経験者が愛猫を守るために心がけている“防災法”

毎年3月になると、メディアで目にする機会が増える東日本大震災の話題。多くの被災者が苦しんだこの震災から私たちが学んだことは多く、猫飼いとしては愛猫との避難を考えさせられもしました。

そんな歴史的震災が起きたこの時期だからこそ、他の被災体験にも触れ、自分にできる愛猫の守り方を考えることも大切。神戸市内のマンションで暮らしていたゆかさんは阪神淡路大震災を経験。

現在は2匹の猫と生活中

2匹の愛猫と被災し、緊急時に猫を守ることの難しさを痛感しました。

倒れたタンスや食器棚…数時間かけてようやく2匹の愛猫と再会できた

ぐるちゃんとるるくんという2匹の愛猫と暮らしていた、ゆかさん。阪神淡路大震災が発生した1月17日、家の中ではタンスや食器棚が倒れ、食器が散乱。歩くのもままならない状態となりました。

引用元:神戸市の阪神淡路大震災「1.17の記録」

神戸市がオープンデータとして公開している当時の写真

必要なものを探すのが大変でした。家具家電が全て倒れているので、どの隙間に猫たちがいるのか探すことも困難で…。

地震発生後、愛猫たちの姿が見えなくなったことから、妹さんと共に名前を呼び捜索。数時間探しても見つからず、タンスの下敷きになってしまったのでは…と半ば諦めかけた頃、2匹は腰がひけた状態で、そっと出てきたのだそう。

ぐるちゃんとるるくん

揺れの凄まじさに驚き、どこかで丸くなって震えていたのだろうと思うと、涙が出てきました。本当によかった。

幸い怪我もなかったものの、猫たちは恐怖から警戒心が強くなっており、なかなか抱っこをさせてくれませんでした。

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その後、ゆかさん家族は猫を連れて、数週間、避難所や親戚宅を転々とすることに。嬉しいことに、どこへ行っても周囲の人たちは嫌な顔をせず、かわいがってくれる人もいたのだとか。

ただ、避難所で知らない方に「猫も一緒に避難所に連れてきてえらいねえ」と言われた時はびっくりしました。私たちにとっては家族なので当然のことだけど、ペットのいない方にとっては当たり前じゃないということに気づかされ、衝撃を受けました。

また、避難時は環境の変化から猫たちがなかなかトイレをしてくれず、病気になるのではないかと不安に思ったそう。

ぐるは、すごくフレンドリーで避難先ではリードをつけた状態でウロウロできていましたが、るるは家族以外断固拒否の子だったので、ストレスがすごくあったと思います。

震災発生から2~3週間後、住んでいたマンションが無事であることがようやく分かり、自宅へ戻ることができましたが、ゆかさんにとってこの被災体験は教訓となりました。

震災から28年が経った今、ゆかさん宅には小雪ちゃんと小紫ちゃんという2匹の猫が。

三毛猫の小雪ちゃんとサビの小紫ちゃん

ゆかさんは日頃からハーネスに慣れさせ、震災など不測の事態が起きた時、愛猫と一緒に避難できるように心がけています。

猫2匹が入るリュック型のキャリーも用意しています。たとえ家にひとりしかいなくても、猫たちを背負って避難できるようにと思って。

また、阪神淡路大震災で愛猫と避難をした際、フードや猫用トイレのほか、折りたたみケージもあったほうが便利だと感じたため、時折、部屋にそうしたケージを置いているのだとか。

普段から、ケージに慣れさせておくためです。2匹は、中で遊んでいますね。

ケージの上でくつろいでいることも

猫の性格によっても、避難の仕方は変わる。まずは震災発生時に、人間がパニックにならないことが大切。そう語る、ゆかさんの被災経験から学ぶことは多いもの。もしもの時に小さな家族を守る防災術を考える機会を、ぜひ設けてみてください。