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企画記事

命を落とした猫はゼロ!「Cat Room ねこりば」に学ぶ”パルボウイルス感染症対策”

2018年の夏に猫好きさんを震撼させたのが、人気猫カフェMOCHAでのパルボウイルス感染症の発生というニュース。
Twitterの投稿から発覚したこのニュースはテレビで報道されるまでになり、猫カフェMOCHAでは一部店舗の休業や新店の開店延期という措置が取られました。
しかし、結果として多くの猫の命が失われてしまったため、その対応には様々な意見や批判が寄せられました。

そんな騒動が起きているとき、山梨県のオギノリバーシティショッピングセンター内にある「Cat Room ねこりば」でも、同じくパルボウイルス感染症が発生。

しかし、オーナーである小松亜紀さんは事前にしっかりとワクチン接種を受けさせていたり、獣医さんのアドバイスを受けながら猫たちの命を最優先に考えた対処法を行ったりしていたため、1匹の命も落とさず、営業停止期間を経て営業を再開されました。
今回は、小松さんに当時の状況やパルボウイルス感染症が起きたときにできることなどを詳しくお聞きいたしましたので、ぜひ参考にしてみてください。

猫を幸せにしたくてオープンさせた「Cat Room ねこりば」

愛玩動物飼養管理士の資格を取得されている小松さんは近所の野良猫が産んだ7匹の子猫を保護して里親募集を始めたことを機に、TNR活動や地域猫、殺処分の問題を深く知り、「不幸な野良猫をできるだけ増やしたくない」という想いから、2017年に野良猫たちを安全に保護できる4畳半ほどの手作り屋外シェルターを自宅に作られました。

しかし、自宅が郊外であったため、「もっと目立つところにシェルターを持てば、今よりもたくさんの猫達を救うことができるはず」という気持ちが強くなり、2018年2月22日に山梨県内のショッピングモール内に保護猫のための里親募集型、常設譲渡スペース「Cat Room ねこりば」をオープン。

店名の「ねこりば」には”猫る場所”という意味があり、「猫を取り巻く現状を変えたい」「自宅で飼えない猫好きな人が猫たちと触れ合い、癒される場所を提供したい」という小松さんの想いが込められているのだそう。

お店ではこれまでに、20匹近くの保護猫たちと新しい家族の縁を紡いできました。

パルボウイルス感染症が発覚

「お店にいた猫にパルボウイルス感染症の疑いがあります」
かかりつけの動物病院からそんな連絡を受けたのは、お店の運営も順調に進み始めていた2018年7月21日のことでした。

お店では普段から、食欲不振や下痢、嘔吐などが見られた場合は当日や翌日にかかりつけの動物病院へ連れて行くようにしており、今回も店舗営業を一時休憩し、激しい嘔吐や食欲不振、水下痢がみられた時点ですぐに子猫を病院へ連れて行っていました。

すると、その子猫にパルボウイルス感染症の疑いがあることが判明。
パルボウイルス感染症は感染力が非常に強いため、小松さんは店内の猫たちは全員パルボウイルスに感染しているものと考え、個別に隔離したり、感染していそうな猫をシェルターに連れ出したりすることは逆に病気が蔓延する危険性があると感じ、ケージを使いながらお店自体を隔離場所にしようと判断されました。

感染の拡大を防ぐため、まずはその日から営業を停止。お客さんにもすぐtwitterで店舗の休業を連絡し、店舗が入っているショッピングモールの管理部門へパルボウイルス感染症が発生したため、当面の間、お店を閉めることを伝えました。

こうして感染の拡大を防いだ小松さんは営業を停止した当日から、店内やフロア、壁などの消毒を開始。家族にもお店へ来てもらい、消毒が難しいキャットタワーや家具、クッション、カーペット、スリッパなどは全て廃棄。

早急な消毒が必要だったため、初めはホームセンターで購入した噴霧器に薄めた「塩素系消毒液(ハイター)」を入れて行っていましたが、においがきつく、猫や人にも危険であるため、すぐに使用をやめ、パルボ対策に効果的だといわれている「ビルコン」を探し回ることに。

ビルコンはどこのペットショップや動物病院へ行っても取り扱われていなかったため、ネット通販にて注文をし、到着までの数日間はペットショップで購入できた「バイオチャレンジ」を使用し、消毒を行っていたそうです。

ショッピングモール全体の閉店時間があったため、7月21日にすべてを消毒することが難しかったので、長期的に行い続けました。その際は、ホームセンターや100円ショップで安い雑巾を買い溜めし、「噴霧をして10分ほど放置してから拭き取り、使用した雑巾を捨てる」というサイクルを約1週間続けました。
その後は3~4日おきにそのサイクルを行いましたが、猫自身がパルボウイルスを持っているので、定期的にケージ内の猫用ベッドやマットを取り変えながらビルコンにつけて消毒していました。

そう語る小松さんはトイレの処理にも気を配りながら、パルボウイルス対策を行っておられたよう。

パルボウイルスに感染した子猫は食欲不振や嘔吐がみられた時点ですぐに隔離してトイレも分け、退院後も単独でケージの中で過ごさせていましたが、パルボウイルスは便からも排出されるため、トイレの砂を3日に1回は全て取り変えられていました。

こうした適切な対策を行ったことや店内にいるすべての猫たちがワクチン接種済みであったため、「Cat Room ねこりば」はすべての猫たちの命を守りながら、パルボウイルス感染症の発生という事態を乗り越えることができたのです。

クラウドファンディングを活用して店舗営業を再開

パルボウイルス感染症を乗り越えた「Cat Room ねこりば」はその後、クラウドファンディングで「保護猫の『里親募集スペース』再スタートを応援してください!」と支援を募り、目標金額に達し8月27日にお店の営業を再開されました。※9月30日(日)午後11:00まで支援を募集しています。

現在は同じような事態を引き起こさないよう、いままで以上に気を配りながら猫たちが安心して里親さんとの出会いを持てる場を提供し続けておられます。

パルボウイルス感染症が発生する前は、店内の拭き取り掃除を行うときに次亜塩素酸水を使用していたのですが、これを機に全てビルコンに変更しました。現在でもフロアやケージ内、猫トイレの周りはビルコンで消毒しています。

こうした対策が行われ続けている店内では、すっかり元気になった猫たちが無邪気にお出迎え。

店内にいる猫たちは全匹、便検査済みで1回目の陰性が出た1週間後に再検査し、再び陰性であることを確認しています。

さらに、獣医さんからも「もう大丈夫」とのお墨付きが出ているため、猫たちは現在、今まで通りケージの外で多くの仲間たちとの共同生活を漫喫中。

こんな風に愛くるしい様子が見られるのは、小松さんが猫カフェ運営者として“猫の命を守る”ことに全力をかけたから。
なお、現在、お店の入り口には今回の出来事を過去のものとせず、経緯を知らないお客さんにもしっかりと伝えていきたいという想いから、感染症発生の経緯と入店の際のお願いが掲示されています。

パルボウイルス感染症のように感染力が強く、致死率も高い病気が発生してしまうと戸惑ってしまうものですが、そうした時にこそ「猫のために何ができるだろう」と考え、即行動していくことが大切なのだと思わされますね。

パルボウイルス感染症が発生したときの想いとは?

そんな小松さんに今回は、当時の心境や営業再開への想いを詳しく伺いました。

―動物病院から 「お店の子猫にパルボウイルス感染症の疑いがある」との連絡を受けたときは猫カフェ運営者として正直、どのような想いを抱かれましたか。

一瞬頭が真っ白になりましたが、命を繋ぐ立場として、とにかく猫が死ぬことがないよう、まずはやるべきことを早急にやろうと思いました。最初はとにかく死なないで欲しいと願っていましたね。

―小松さん自身も様々な知識をお持ちだったかと思いますが、獣医さんからは具体的にどのような指示をいただいたのでしょうか。

獣医さんからはパルボウイルス感染症の疑いがある子猫を隔離すること、店内や猫たちが使っていた物を消毒するよう指示されました。お店の猫たちはみんなワクチンを接種していたので、万が一病気が移っても重症化する可能性が低いけれど、引き続き、猫の体調を細かく観察し、変化があったら、すぐに連絡するよう、アドバイスをいただきました。

今回は幸い、子猫にパルボウイルス感染症特有の血便が見られず、店内の猫たちが次々と下痢をし、血を吐いた…という重篤な状態ではなかったので、獣医さんも自分たちも比較的、落ち着いて対応できました。

―パルボウイルス感染症の発生によってお店を休業しようと決意されたときは、やはり不安な気持ちなどもあったのでしょうか。

休業は病院からの連絡を受けた直後に即決したため、その時は今後の運営に関してまでは考えが及ばず、とにかく入院している子猫の命と感染拡大への不安しか頭にありませんでした。お店の運営について不安になりはじめたのは猫たちの体調が回復し、店内の消毒サイクルが落ち着いてきた時です。家賃や光熱費、医療費がたくさんかかっていく中で、これからどうしようか…と、どうしようもなく不安になりました。

―そこでクラウドファンディングを活用されたわけですね。ちなみに、同時期に猫カフェMOCHAでもパルボウイルス感染症が発生しましたが、同じ猫カフェ運営者としてどのように感じられましたか。

SNSを通じてMOCHAさんのことを知り、同時期であったので本当に驚きました。同じ境遇として動向は気になりましたが、実際は毎日目の前の猫たちのことで必死でしたね。

―小松さんはまず、目の前の命を守ることに全力を注がれていたのですね。では、小松さん自身がパルボウイルス感染症の発生を告白した時、周りからはどんな反応があったのでしょうか。

状況を発信したときは病気の発生に対するご批判も覚悟しておりましたが、すぐに常連のお客様やSNSで知った方からたくさんの温かい声援をいだたき、本当に励みになりました。
たくさんのフードや猫砂もいただき、とてもありがたかったです。

中には店舗に直接応援にきてくださる方々もおり、店外でしか応対できませんでしたが、ここまで多くのみなさんに支えられていたのだと実感し、胸が熱くなりました。

―そういった周りからの温かい声援は現在も寄せられているようですね。

はい、クラウドファンディングを活用させていただいたときも多くのご支援とご声援をいただき、正直驚きも大きかったのですが、感謝のあまり泣いてしまいました。現在も休業を知らなかった方に経緯をご説明すると、再開を喜んでくださり、とてもありがたく思っています。

猫の命を守れる対処法を

―「Cat Room ねこりば」は多くの方々から愛されているお店であることが伝わってきますが、こうしたお店づくりをしておられる小松さんは今回の経験を通じ、パルボウイルス感染症を予防するにはワクチン接種以外にどのような対策をしていくことが大切だと思われましたか。

やはり日々の消毒が大切だと思います。私たちが行う店内の消毒はもちろんですが、お客様やスタッフが出入りする際の消毒も重要です。今回お客様とお話しさせていただき、パルボウイルス感染症のような「猫の感染症」のことを知らない方も多く見えることが分かりました。
そのため、こうした方たちにも丁寧にご説明し、消毒にご協力いただくことが病気の予防には必要だと思います。猫の可愛さだけでなく、病気のことをしっていただいて、危険性を意識することの大切さを伝えていくことが予防に繋がっていくと思います。

―併せて、猫の体に異変が見られないかを日々チェックしていくことも感染症を予防するには大切なことですよね。

はい。いくら店内でウイルスの侵入を防止しても完全な予防は無理だと思っています。そのため、ワクチン接種に加え、管理者が日頃から猫たちの健康に気を配り、異変がみられたらすぐに病院に連れて行き、専門家の判断を仰ぐことも重要だと思います。

私たちが今回、幸いなことにひとつの命も失わずに済んだのも、すぐに病院へ連れて行ったことが大きな理由だと実感しています。

―命を守るためには身近に頼れる専門家を見つけておくことも大切なのですね。ちなみに今回の出来事を経て、小松さんはどんなことを一番強く感じられましたか。

命を預かるということの難しさを再確認しました。特に子猫の体調は刻々と変わるため、注意を怠ると簡単に深刻な事態になってしまうので、慎重に対応することがとても大切だと思いました。今後も、子猫の扱いには最新の注意を払っていきたいです。

―他にも読者に伝えたいことなどありましたら、教えてください。

皆様の温かいご支援やご声援のおかげで「Cat Room ねこりば」を再開することができたことに感謝いたします。保護猫たちの幸せを願い、小さなシェルターから始めてキャットルームを運営してきましたが、今回はその大切な猫たちの命に係わる事態が起きてしまいました。幸い、失われた命はありませんでしたが、この経験を決して無駄にはせず、猫たちが幸せで過ごせるよう努力し、運営していきますので、これからもどうぞ宜しくお願い致します。

この夏、猫と触れ合える2つのお店で起きた「パルボウイルス感染症」は、動物の命とどう向き合っていくかを考えさせてくれるきっかけになります。
病気への対処法を知っていれば、命を守れる可能性は高くなるはず。
今後は「Cat Room ねこりば」の猫たちが今後どんな素敵な里親さんたちと出会えるのかをチェックしながら、私たちは病気が発生したときにできることを考えていきたいものですね。