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この子は「猫又」になるって信じてた…22歳半生きてくれた愛猫のCoCo

昨年の10月に、22歳半という長いニャン生を終えたCoCoちゃんは、飼い主の春眠さんにとって、今もかけがえのない愛猫。

2人の“これまで”には、数えきれない思い出があります。

カラスに殺されそうだった子猫を引き取って

春眠さんとCoCoちゃんが出会ったのは、1997年のこと。CoCoちゃんは、横浜市の公園で暮らしていた地域猫の子どもでした。

春眠さんの同僚が気にかけ、職場の行き帰りに見守っていたところ、カラスに殺されそうになっているところに遭遇。急いで助け、動物病院へ連れていきました。しかし、家庭の事情で飼えず、春眠さんに里親の話がきたのだそう。当時、春眠さんは賃貸アパートに住んでいたため断りましたが、興味が湧き、見るだけのつもりで治療先の動物病院へ。「連れてこられた時に、ポンポンなお腹でへそ天してくれたCoCoにハートを射抜かれ、家族になりました。」

自分たちは“臭い仲”だった。春眠さんがそう笑うのには、ある理由が。

引っ越しをする時やお風呂でのシャワー時、病院で診察を受ける時、CoCoは必ずおもらしをしていました。老年になると下半身不随となったので、オムツをつけてもらい、摘便や排尿介助をしていたのですが、うんちが出ると夫婦で喜び、CoCoを褒めた。最後まで臭い仲でした。

ビビリなのに好奇心旺盛だったCoCoちゃんはおうちで、コミカルなイタズラをしたことも。「瞼を舐めても踏んづけても旦那が起きないと、出窓から勢いよくお腹にジャンプ!旦那は驚いて飛び起きていました(笑)」

しかし、苦手な動物病院では一変し、いつもはすり寄らないご主人の腕に顔を埋め、処置の最中には腹や服を噛んではウニャウニャと文句を言っていたのだとか。

マイペースだけどドジで、人見知りだけど寂しがり屋。下僕使いの荒い、でも優しい猫又でした。

どの記憶も春眠さんにとっては、愛しくてたまらないものです。

うちの子はいつか猫又になる

そんなCoCoちゃんは18歳を過ぎた頃から徘徊や夜鳴きをしはじめ、左耳の下辺りには「肥満細胞腫」が。抗がん剤を試すも、泡を吹いたり食欲がなくなったりしてしまったため、中断。高齢ということもあり、リスクの高い手術は行わず、自然に任せる選択をしました。

昨年の1月には顔が腫れ、腰がくだけたような歩き方をするようになったので病院に行ったら、腎臓の数値が高いことが分かりました。

いつか先に逝ってしまうという想いはあったものの、死が着実に迫ってきていることを春眠さんはなかなか受け止めることができなかったそう。よく遊び、良く叫び、よく食べるこの子が死ぬわけがないと思い、猫又になってギネスに載る日を夢見ていたと言います。

しかし、下半身不随となったことを機に、徐々に最期を考えるように。看取り本を購入したり、講習会に参加したりして、いつか来る別れに備え始めました。

そして、昨年の10月12日。前日からCoCoちゃんはほとんど食べなくなり、お水にも顔を突っ込んでしまうようになったそう。それは介護・緩和ケアをしようと思って会社を辞めた5日後のことでした。

これまでずっと1日置きに行っていた自宅輸液をしてもいいのか、しないほうがいいのか確認したかったのですが、かかりつけ病院の診察時間外で。救急病院に電話で相談したけれど、診ていないからという理由でアドバイスはいただけませんでした。

ご主人と話し合い、今は動かさず、朝になったら病院へ連れて行こうと決めましたが、その日のうちにCoCoちゃんは息が荒くなり、ひきつけを起こして逝去。もしかしたら、シリンジであげたお水で嚥下困難を起こしたのかもしれないと、春眠さんはいまだに自分を責めています。

亡くなった後、インスタグラムで似たような状況の子を知り、もっと自宅輸液をしてあげても良かったのかもしれないとも思いました。せめて、もっと楽に逝かせてあげたかった。夜が明けたら病院へ連れていこうとは考えていたけれど、もう十分頑張っているから、車中で容体が悪くなるよりも、家族に囲まれて暖かい布団でゆっくり逝かせてあげたいとも思ったんですよね。

最期の瞬間はペットカメラで撮れていたため、映像として残っていますが、春眠さんはまだ見られないのだそう。

今振り返れば、猫は具合が悪くても表に出さない、出した時は相当悪くなっているんだと思ったほうが良かった。すべて獣医師任せにせず、健康状態の確認やなすべき行動があったのではないかと、今でも後悔しています。正解などないのかもしれないけれど、うちに来て良かったと思ってくれていたらいいな。



亡くして痛感した「愛猫の尊さ」

ペットロスは心に深い傷を与えるもの。春眠さんは今もなお、後悔ばかりが頭をよぎる日々を過ごしています。しかし、地元の地域猫たちと触れ合いながら、少しずつ前を向こうと頑張ってもいるよう。

一周忌が終わったら、保護猫活動をしている方たちに交じってボランティア活動をしようと思っています。

また、愛猫の死を通して、「もっと一緒に過ごす時間を作れていたら…」と思ったからこそ、動物と過ごす時間が作りやすい高齢者と保護猫・保護犬の共存が老人ホームなどで、もっと実現出来たら…と考えるようにもなったそう。

CoCoは愛娘であり、一番の理解者であり、恋人であり、親友であり、相方であり、誰よりも1番長く一緒に過ごしてきたソウルファミリー。泣いていると涙を舐めて慰めてくれるような優しい子。亡くなって初めて、自分の一部だったのだと痛感しました。もし、生まれ変わったら私に分かるような“何か”を持って、また家に戻ってきてほしい。

そんな想いを空の上で受け止めているCoCoちゃんは、自分がいたあの頃のように春眠さんが笑えるようになることを祈っていそうです。