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「え?見せてくれるの?」保護猫が目の前で出産。先輩猫たちも見守った7匹家族の物語

「え?見せてくれるの?」保護猫が目の前で出産。先輩猫たちも見守った7匹家族の物語

Instagramアカウント「はちですよ(@8desuyo_cat)」さんは、飼い主さんたち家族が営む会社の事務所で暮らす7匹の猫たちの日常を発信しています。仕事をする飼い主さんのそばでくつろいだり、猫同士で寄り添ったりするにぎやかな毎日は、見る人を笑顔にしてくれます。

今ではすっかり家族の一員ですが、もともとはみんな、職場の周辺で暮らしていた猫たち。始まりには、1匹の野良猫との出会いがありました。

最初にやってきたのは、現在のリーダー・ハチくん

事務所の周りで、飼い主さんの前に初めて現れた野良猫が、現在推定8歳のハチくんでした。「かわいい子だな」。毎日見るうちに愛情がわき、次第にごはんをあげるように。ところが、真冬のある日、ハチくんが突然ごはんを食べなくなったのです。心配した飼い主さんは発泡スチロールで家を作り、靴下にカイロを入れて暖を取れるように工夫します。しかし、ハチくんが食べない状態は長引き、1週間ほどになりました。

当時、野良猫を保護した経験がなかった飼い主さん一家。飼い主さんのお母さんも、外で暮らす猫をどこまで助けるべきなのか慎重に考えていました。一方、日に日に弱っていくハチくんを見ていた飼い主さんは、次第に「このままではいけない」という思いを強くしていきます。

このまま死んでいく姿を見るのがつらくなって、病院へ連れていこうと思いました。そんな時に限ってハチがいなくなってしまって、「隠れて死んでしまったのかな」と。でも夜中に見に行くと、また戻ってきてくれていたんです。「もう悩んでる暇はない!」と思いました。

翌朝、飼い主さんはハチくんを発泡スチロールの箱ごと病院へ。獣医師の懸命な治療によって、ハチくんは無事に回復しました。その後は事務所の中で暮らすようになり、職場猫第1号に。

さらにその後、同じく職場周辺で暮らしていた茶トラのチャタくんも保護され、事務所の仲間に加わりました。お世話好きな弟分として暮らすチャタくんと、少し離れた場所からみんなを見守るハチくん。仲間が増えた今では、ハチくんは窓辺から外を眺めるパトロールもするようになりました。

ハチはあまり前のめりになりすぎず、ちょうどいい距離感でいつもみんなを見守ってくれています。みんなを守ってくれている、リーダー的存在なんです。

ある日、職場に現れた女の子・チビちゃん

そんな事務所に、ある日突然現れた猫がチビちゃんです。発情期だったためか、それほど警戒心は強くなく、少しずつ触らせてくれるようになりました。女の子だと分かった時、飼い主さんには「妊娠しているかもしれない」という予感があったそう。病院で検査を受けると、お腹の中には4匹の赤ちゃんがいることが分かりました。

すでに事務所にはハチくんとチャタくんがいます。チビちゃん一家を保護すると一気に7匹まで家族が増えることに。それでも飼い主さんに、子猫たちを産ませないという考えはありませんでした。

もうすでに保護猫がいましたが、産ませないということは考えていませんでした。母も「かわいそうやから産ませてあげよう」と言ってくれました。

こうしてチビちゃんは、みんなに見守られ、事務所で出産の日を迎えることになりました。



母性の強いチビちゃん、いよいよ出産へ

チビちゃんは、出産前からとても母性の強い女の子でした。まだお腹の赤ちゃんたちが生まれていない頃から、自分よりずっと大きいハチくんやチャタくんを子どものように扱い、体を舐めたり、お尻まできれいにしてあげたりと、せっせと2匹のお世話をしていたそうです。

飼い主さんは、出産が始まればどこか人目につかない場所へ隠れるのではないかと思っていました。ところが、いよいよその時を迎えたチビちゃんが選んだのは、飼い主さん、そしてハチくんとチャタくんがいる場所でした。

目の前で出産を始めたので、まずはびっくりしました。「え?見せてくれるの?」という感じでした。

陣痛が始まり、だんだん苦しそうになるチビちゃん。頑張るチビちゃんの様子を見て、ハチくんが優しく体を舐め、グルーミングをしてあげる場面もありました。

その後、ハチくんとチャタくんはいつの間にか眠ってしまいましたが、その間にもお産は進みます。そして、4匹の赤ちゃんが無事に誕生しました。

すぐに意識をなくしたように眠り込んだチビちゃん。飼い主さんが心配しながら見守っていると、およそ1時間後に再び起き上がり、今度はせっせと子猫たちのお世話を始めました。人間の手を借りることもなく、チビちゃんは出産から生まれた子猫のお世話まで、自分でやってのけたのです。

本当に「すごい」としか言葉が出ませんでした。出産は人間でも猫でも命懸けなんだと、改めて思いました。

飼い主さんは、4匹にぽんずちゃん、しらすちゃん、おはぎちゃん、めんまちゃんと名前をつけました。4匹まとめて「チビーズ」です。

一方、眠っていたハチくんは、目を覚ましたところで、チビーズとご対面。突然現れた小さな猫たちに、ずいぶんと驚いた様子を見せたそうです。そんなユーモラスな一幕を経て、賑やかな子育ての日々が幕を開けました。

チビーズのお世話に大活躍するチャタくん

子猫たちが生まれてからは、ハチくんとチャタくんも、それぞれの距離感でチビーズを見守っています。ハチくんは少し離れたところからみんなを見守るタイプ。一方、現在チビーズから特に慕われているのが、お世話好きのチャタくんです。

チビちゃんが風邪をひいた時には、チャタくんが子猫たちと一緒に眠ったり、グルーミングをしてあげたりと大活躍。すっかり甘えるようになったチビーズは、チャタくんのお腹を探り、ミルクを飲もうとするような仕草まで見せたそう。

チビちゃんがハチくんとチャタくんを自分の子どものようにお世話し、出産時にはハチくんがチビちゃんに寄り添い、子猫たちが生まれた今はチャタくんがお世話係に。血のつながりとは関係なく、猫たちなりの距離感で誰かが誰かを気にかける。そんな関係が、7匹の間には自然と生まれています。

「生きることが当たり前」の毎日を

飼い主さんは、事務所でのお仕事のかたわら、ごはんやトイレのお世話をしたり、一緒に遊んだり、体調を確認したりして毎日を過ごしています。猫たちの元気な姿を見るたびに、「こんな猫たちが外で暮らしていたなんて信じられない」と感じるそう。

ハチくんをはじめ、チャタくんもチビちゃんも、ほんの少し何かが違えば、命を落としていたかもしれない猫たちです。だからこそ、飼い主さんが望む暮らしはとてもシンプル。

これからは、寒くない、暑くない、ご飯もある、水もある、生きることが当たり前の生活をしてほしいです。あとは健康で、病気せずに長生きしてほしいですね。

外で生きる猫たちにも目を

最近、飼い主さんは、野良猫を捕獲して不妊・去勢手術を行い、元いた場所へ戻して地域で見守っていく「TNR」に取り組もうとしています。きっかけは、いつもお世話をしていた野良猫が、ある日赤ちゃんを連れてきたこと。女の子だと思っていなかったため驚くと同時に、「猫が外で生きていくというのは本当に大変なのだ」と改めて感じたそうです。

事務所には7匹いるので、これ以上保護することはできません。でも、手術をして、これからは地域猫として見守る予定です。

初めてのTNRで分からないことも多い中、力になってくれたのは、SNSで猫たちを見守ってくれているフォロワーさんたちでした。普段からごはんや病気についてなど、困った時にはアドバイスを寄せてくれるといいます。不妊・去勢手術についても、補助制度や支援の仕組みなど、さまざまな情報を教えてもらったそうです。

うちの子たちに、自分の子のようにいつも愛情を注いでくださって、とっても嬉しいですし、すごく助けられています。

ハチくんにごはんをあげ始めたことから、少しずつ増えていった家族。今ではその経験が、地域の猫たちをどう見守るか考えるきっかけにもなっています。

真冬に弱りきっていたハチくんは、今では仲間をそっと見守るリーダーに。チビちゃんは4匹のお母さんになり、チャタくんも子猫たちのお世話に大忙しです。寒さや暑さ、空腹におびえることなく、ごはんと水があり、安心して眠ることができる。飼い主さんが願う「生きることが当たり前」の毎日を、7匹は今日も一緒に過ごしています。