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「愛猫が亡くなっても“ロス”じゃない」 亡き愛猫を想い続ける飼い主が、新たな猫との暮らしで気づいたこと

「愛猫が亡くなっても“ロス”じゃない」 亡き愛猫を想い続ける飼い主が、新たな猫との暮らしで気づいたこと

今も、多くの猫好きの心に深く刻まれているのは、歌舞伎町で生きていた野良猫「たにゃ」くんと、飼い主さんの日々。人生どん底だった2022年、飼い主さんはたにゃくんと家族になり、多くの思い出を築いた。

多くのファンに愛され、2024年9月に天国へ旅立った、たにゃくん。飼い主さんは深い喪失感を抱えていたが、2025年、ひょんなことから「イブ」くんという猫を迎え、再び猫との生活を送るようになった。



「相棒はたにゃだけ」の信念が揺らいだ、切迫した協力依頼

飼い主さんのDMには普段から、すべてに目を通すことができないほど、里親探しなどの協力依頼がDMが届いている。ただ、「協力できない子がいると自分の心が苦しくなる」との想いから、基本的には自身の日常を投稿するというスタンスを貫いていた。

だが、2025年冬、なぜか1件だけ強く心惹かれる協力依頼が。それが、イブくんとの出会いに繋がった。

たにゃの導きだったのかも。かなり切迫している状況でした。

イブくんは、猫エイズのキャリア。一時預かり先には先住猫がおり、保護できる期間やスペースに限りがあった。また、他に協力を打診できる施設は犬がメインであり、強いストレスがかかる可能性があったそうだ。

このままだと、もといた場所に戻すしかない。そんな言葉を聞き、飼い主さんは里親探しに協力。しかし、引き取り手は見つからなかった。

人生の相棒は、たにゃだけ。そう心に決めていた飼い主さんは当初、自身がイブくんを迎えることは考えていなかった。

たにゃで始まって、たにゃで終わる。それがたにゃに対する僕の姿勢。新しい家族なんて考えたことがありません。他の子と住んだら、たにゃが怒ると思っていたから。

しかし、イブくんの件で奔走する人々とやり取りを交わす中で、昔の自分を思い出し、心境に変化が起きる。

イブを想うボランティアさんは、あの時の僕と一緒だ。この子が幸せになるなら、どんなことだってする。あの時、僕はたくさんの方から背中を押され、支えられ、応援してもらえた。そんな自分に今できることは…?

考えた末に出した答えは、「イブくんを迎える」という決断。飼い主さんはバレンタインデーにイブくんを家族として迎え入れた。

先代猫とは正反対!ゆっくりと“イブ時間”を楽しむ愛猫の穏やかさ

迎えた直後、イブくんは部屋の隅に隠れ、猫パンチや威嚇もした。ただ、先代猫のたにゃくんはプロボクサー並みの猫パンチとヤンキーのような威嚇を見せた猫。イブくんの優しいパンチに、飼い主さんは拍子抜けしたそうだ。

やがて、心を許すようになったイブくんは、飼い主さんの入浴中に騒ぎ、お風呂場へ来るのが日課に。

寂しいのだろうか。最初はそう思っていたが、どうやらイブくんはお湯に浸かる飼い主さんを心配していたようだった。お風呂から出るまで鳴き叫ぶイブくんの心を思い、飼い主さんはシャワーで済ませるようになった。

イブは不思議な透明感があり、とってもマイペース。テチテチと歩いてポテンと寝転び、起きてまた動いたと思ったら、すぐにコロン(笑)この繰り返しで、あなたは何をしているの?と笑っちゃいます。

イブくんには、ゆったりとした独特の時間が流れているそうだ。その“イブ時間”を感じ取るたび、「野良猫の頃は相当、無理をしていたんだろうな」と、飼い主さんの心は締め付けられる。

縄張りもご飯も上手くいかなかったと思います。保護時に尻尾が半分壊死してたのは、喧嘩が原因かもしれません。これからは、“イブ時間”を満喫してほしいです。

「亡き愛猫が伝えたかったことに気づいた」新しい愛猫との日々で自責が和らいで

イブくんを抱っこしたり、撫でたりする時にはなんとなく天からの視線が気になり、「たにゃ、怒ってないかな?」「ヤキモチ焼かないよね?」とおうかがいを立てながら生活しているという飼い主さん。

ただ、イブくんと暮らしてからは、たにゃくんへの反省や懺悔が少しずつ和らいでいった。

以前は、『あの時の判断は合っていたのか』と自責し、謝り続ける日々でした。でも、イブが来てからは、キャリアなのでストレスをかけないことに集中しようと、たにゃとの生活で学んだことを思い出しながら、イブと向き合うことにしたんです。

そうしているうちに、たにゃくんとの日々を前向きな気持ちで思い出せるようになっていった。

たにゃが言いたいことって、こういうことだったんだ。『俺と楽しかったことを思い出してくれよ』って言ってんだなとも思えるようになって。生粋の野良猫たにゃと培ってきた経験があったお陰で、イブがお腹を見せてくれるまではあっという間でした。

なお、今年のお盆には不思議な出来事を経験。夜中にガシャーンという大きな音を聞いた飼い主さんが慌てて見に行くと、普段は絶対に上らない「たにゃくんの祭壇」にイブくんがいた。

たにゃが家に帰ってきた瞬間だと感じました。スピリチュアルなことは信じないタイプですが、こんな不思議ってあるんだと…。イブにはたにゃが見えていていいなと思いましたが、それは猫同士の特権。僕はイブを通して、たにゃの存在を感じていました。

愛猫を失っても「ロス」ではないという気づきを得て

たにゃくんとイブくんは、正反対の性格。ツンデレなたにゃくんとの生活では、自身のほうが追いかけている感覚だったと飼い主さんは振り返る。

そんな生活も大好きでした。ただ、ふと思うんです。たにゃが実はしたかったことをイブに移ってしてるのかなって。

なお、たにゃくんとの日々では「飯食ったか?」や「おい、寝るぞ」などフランクな会話を楽しんでいたが、「タイプに合わせて猫に従え」と考え、イブくんに対しては「ご飯食べたあ?」「お水変えましょねえ」と口調が変わったそうだ。

飼い主さんにとってたにゃくんは、生きる上での道しるべ。

たにゃのように生きていけるよう、教えてくれたことや繋げてくれた縁を大切にして、再会できた時、『よくやったニャっ』て言ってもらえる生き方をしたい。

一方、イブくんは温かな時間を取り戻してくれた存在。ゆっくりとした“イブ時間”で癒しをくれ、悲観的に過ごすことが多かった日々に変化をくれた。

かけがえのない愛猫との別れ。それを経て飼い主さんが辿り着いたのは、愛猫が亡くなっても「ロスはない」という気づきだった。

形が見えなくても、空を見て似ている形の雲を探してみたり、心地よい風が吹いた時には話しかけてくれたのかなと思い、『な〜に?』って返事してみたり。ロスどころか、ずっと毎日、あの子と寄り添って生きてるんです。

会えない日々は、もちろん辛い。だが、「生前に離れていた身体が、今は一心同体になった気がする」と飼い主さんは話す。

みなさんの中にあの子はいる。大丈夫。明日も、たにゃへのおはようから1日が始まります。泣いていても笑っていても、思い出しているあの子は、ずっと一緒いますよ。

亡き愛猫への深い想い大切に抱えながら、目の前の命にも精一杯、愛を注ぐ飼い主さん。似た境遇の方は、そのリアルなペットロスとの向き合い方が心に染みることだろう。