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「ギリギリの状態で助けを求めてくれたことに涙が出た」 ゴミ捨て場で出会った茶トラ猫のツナくん

「ギリギリの状態で助けを求めてくれたことに涙が出た」 ゴミ捨て場で出会った茶トラ猫のツナくん

猫と人の出会いには、運命的なものを感じることも多いもの。mmmさんと愛猫ツナくんも、赤い糸を感じさせるような出会いを経験。

mmmさんは、力を振り絞ってSOSを求めてきたツナくんを家族に迎え、命を紡ぎました。

ゴミ捨て場で必死に助けを求めてきた猫を見過ごせなかった

出会いは、2年前の7月。ゲリラ豪雨の翌日、mmmさんは出勤前、ゴミ捨て場で座っていたツナくんを発見。

ゴミ箱には蓋がありましたが、においにつられてやってきたのだろうとmmmさんは推測。ツナくんはとても空腹なようで、目が合った瞬間、鳴きながら走り、すり寄ってきました。

職場へ行くため、mmmさんは足早に駐車場へ向かいましたが、ツナくんは、まるで助けを求めているかのように後追い。走って、駐車場まで追いかけてきました。

悩んだ挙句、ツナくんを保護。家に戻り、ひとまず、布をかけたケージの中で過ごしてもらうことにしました。

命が尽きるギリギリの状態だと感じたので、無視できませんでした。家にケージがなければ保護できなかったので、奇跡でした。

翌日、mmmさんは下痢をしているツナくんを連れて、動物病院へ。健康状態を調べてもらうと、猫風邪であることが判明。片目は視力をなくしており、重度の中耳炎を患っていました。

鼻水が酷く、鳴ける状態ではなかったはず。それなのに、鳴いて保護を求めたツナくんに涙が出ました。

満身創痍のツナくんには、しばらくはケージで安静に過ごしてもらうことに。神経を張り詰めなくてもいい暮らしに安心したのか、ツナくんがケージの中で鳴きわめくことはありませんでした。

mmmさんはツナくんがケージから手を出すたび、「頑張ろうね」と声をかけ、握手。ぬくもりのこもったエールを贈り続けました。

本当にいい子でしたね。近寄ってくる先住猫にも手を伸ばし、じゃれて遊んでいました。無邪気で素直でした。

おうちでの生活に慣れ始めてくると、ツナくんは先住猫の尻尾にじゃれつき、遊ぶことも。その様子をmmmさんはヒヤヒヤしながら見守っていましたが、同居猫たちは怒らず。

優しい大人猫たちに遊んでもらいながら、ツナくんはスクスクと成長していきました。

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臆病な性格なのに助けを求めてくれてありがとう

ボロボロだった体は毛並みの美しさが分かるほど回復しましたが、ツナくんは今も耳の治療を継続中。

一時的によくなりますが、膿が出ることがあります。呼吸も粗い状態ですが、今のところ元気で過ごせています。

穏やかで優しい性格は、保護した時から、ずっと変わらず。お外で気の抜けない生活を送ってきたからか、外から車のエンジン音やサイレンの音が聞こえると、怯えて隠れてしまう臆病なところも変わっていません。

一緒に暮らす中で、そうしたツナくんの性格を知ったからこそ、mmmさんは勇気を出して、自分に助けを求めたという事実を、より尊く受け止めるようになりました。

車が行き交う道路沿いまで出てきてくれたから出会えたね、頑張ったね、強い子だねと褒めています。ギリギリの状況下で生きたいと願う真っ直ぐな強さに、たくさんのことを教えてもらったような気持ちです。

私を選んでくれて、ありがとう。そんな気持ちを込めて、スキンシップを取るmmmさんの愛は、ちゃんとツナくんにも届いているよう。

ツナくんは名前を呼ぶと必ず返事をし、撫でてほしい時や抱っこしてほしい時に鳴いて気持ちを伝えるなど、自分なりの愛情表現をmmmさんに見せてくれています。

寒がりなのか、ファンヒーターの前が好きで、昨年は髭がチリチリにカールしていました(笑)今年もヒーターの前を陣取っていますが、夜は飼い主の足元で寝るのが好きです。

同居猫とも相変わらず仲が良く、深いトラウマがあり、他猫と距離があるミケちゃん以外とは、家族のような距離感を保っているそう。

ツナくんはmmmさん宅で人間家族だけでなく、猫家族も手に入れたのです。

人に助けを求め、元気になったツナくん。その姿から、mmmさんは生きることへの前向きな姿勢を教わったと語ります。

猫はおうちで、人の優しさと共に生きるべきだと思うんです。人が猫に与えるものより、猫が人に与えるもののほうがはるかに大きいと私は感じています。

動物の保護には、責任や金銭的負担が伴うもの。保護を求めるほど苦しい思いをしている猫には、もう出会いたくはないけれど、それでも自分を選び、保護を求めてきたら、きっと、また保護する――。

そう語る、mmmさんはこれからも自分を選び、家族になってくれた猫たちと共に生き続けていきます。