企画
心を許してくれた日の思い出話に感動!人を信じられなかった猫が「穏やかな美猫」になるまで

心を許してくれた日の思い出話に感動!人を信じられなかった猫が「穏やかな美猫」になるまで

愛情は、心を丸くする。猫と暮らしていると、そう感じられることがあるもの。お喋りで明るい性格のハンちゃんと暮らすErinさんは、まさにそんな経験をした猫飼いさんです。

ハンちゃんはかつて、強い警戒心を抱き、睨むような視線を人に向けていました。しかし、一緒に暮らす中で、表情は激変。

人から愛される喜びを知り、家族との楽しい日常を謳歌するようになりました。

里親募集サイトで「眼光鋭いガリガリ猫」が気になって

子どもの頃から猫との暮らしに憧れていたErinさんは猫に関する情報を得る中で保護猫について知り、悲しい思いをしている猫が多くいることに胸が痛んだそう。

そこで、「初めての猫は保護猫からお迎えしよう」と決意し、里親募集サイトを利用。初めは短い貴重な期間を一緒に過ごしたいと考え、赤ちゃん猫のお迎えを検討していました。

そんな時、気になったのがハンちゃん。ハンちゃんは一緒にいた母猫やきょうだい猫と共に保護された子。しかし、きょうだい猫とは明らかに月齢が違い、ひとりだけ特に薄汚れていました。

実はハンちゃんが一緒にいたのは、血の繋がりのない家族。親子猫の中に混じり、なんとか生き延びようとしていたのです。

保護時は痩せ細り、栄養状態があまりよくなかったものの、動物病院では獣医が診察を諦めようとするほど激しく威嚇。厳しい環境の中で生きてきたことから野生味が強く、しばらく預かりボランティアさん宅で家猫修行をすることになりました。

当時、Erinさんは赤ちゃん猫を迎えようと、長時間家を空けなくてもいい在宅ワークにシフトチェンジ。里親募集サイトを見ていた時、ハンちゃんの紹介ページに書かれていた「元野良、人慣れはこれから。フレンドリーな猫をお望みなら合わないかと…。気長に向き合ってくれる里親を…」という正直な文に惹きつけられました。

その時、自分の環境が好転したことを、この子に役立てられるのでは…と思ったんです。引く手あまたな赤ちゃん猫を育てる代わりに、人慣れしていない子とじっくり向き合っていけるはずだと。

加えて、写真からうかがえるハンちゃんの強い眼差しも「この子と仲良くなりたい」と思う理由に。家族の承諾も得て、ハンちゃんのお迎えを決意しました。

スポンサーリンク



お迎え1ヶ月後に起きた「嬉しい変化」に感動!

コロナ禍であったため、初対面はオンライン。預かりボランティアさん宅でハンちゃんは専用の小屋で、のびのびと過ごしていました。

対面して触れ合えなかったので不安はありましたが、対面できない分、色々なことを想定し、心の準備ができました。

お迎え後は少し可哀想に思えたものの、飼育書に書かれているアドバイス通り、布を被せたケージの中で過ごしてもらうことに。

ケージの中には隠れることができる猫用ベッドを固定。また、ハンちゃんが緊張しないよう、様子を見つつ、「怖くないよ」「仲良くしたいんだよ」と話しかけました。

やがて、ハンちゃんは部屋の中で遊んだりキャットタワーで休んだりできるように。しかし、人間に対する強い警戒心は薄れず、触らせてはくれませんでした。

そんな状況が一変したのは、お迎えから1ヶ月後のこと。ハンちゃんは突然、わざわざキャットタワーから降りてきて、ソファーでくつろぐErinさんのもとへ。ゴロゴロ音を響かせながら大きな声で鳴き、自らすり寄ってくれたのです。

それまでは少し触れるだけでも爪を立て、手に穴を開けられたこともあったので、最初は信じられず、唖然としました。

以来、ハンちゃんは威嚇や爪を立てることがなくなり、家族の足に絡みついたり、撫でる時に頭を上げて受けたりするなど、どんどん人馴れ。気分次第ではありますが、今では抱っこもOK。

家族が、あえて目を合わせないようにご飯の準備をしていると、様子を見ながら足元でウロウロ。その後、人の足に手をかけて立ち上がり、ちょうだいアピールをします。

喜んで褒めると得意げな顔になり、繰り返しやるようになりました(笑)

さらに、預かりボランティアさん宅にいた頃やお迎え当初は鳴かなかったのに、お喋りにゃんこに大変身。

基本的には臆病な性格であるため、初めて経験することへの警戒心は今も強いそう。しかし家族にはすっかり心を許し、会話に参加。お返事も、よくしてくれるようになりました。

無邪気であれなかった子猫時代の分も幸せでいて…

Erinさんには、ハンちゃんが家族になる決意表明をしてくれたように感じられた、忘れられない思い出があります。

それはハンちゃんが初めて自ら、そばに寄ってきてくれた後のこと。ワクチン接種のため、おもちゃを使って何とかキャリーに入れ、動物病院へ連れていったErinさんは自分たちの関係性が振り出しに戻ってしまうのだろうと気を落としていました。

しかし、予想に反し、ハンちゃんはその夜、再び喉を鳴らしながらスリスリ。

これから私や家族と仲良くしていこうと心に決め、覚悟をしてくれた表明なのだなあと感じて、とても嬉しかったです。

寝ている間にお尻周りの毛をカットし続けていると、優しい猫パンチで抗議できるようになったこと。普段は慎重派なのに、遊んで興奮した時にはキャットタワーを駆け上がる姿が鈍くさくなること。共に過ごす時間の長さに比例して気づく、愛猫のそんな変化や発見をErinさんは尊く思い、胸に愛しさが募ります。

優しい子に育ってくれたことが嬉しい。かわいかったはずの赤ちゃんハンちゃんとは一緒に過ごせませんでしたが、驚くほど愛おしい存在になってくれました。できることが増えていく姿が見られたことは、貴重で大事な思い出です。

無邪気でいられなかった子猫時代の分も、幸せでいてほしい――。そんな願いを抱くErinさんはハンちゃんのように人馴れしていない猫が1匹でも多く幸せになってほしいと思ってもいます。

人に慣れることが難しい猫の中には、厳しい環境の中に置かれていた子も多いもの。強い警戒心で命を守ってきた子は、どの程度まで人馴れが進むのか、正直、未知数なところはあります。

しかし、そうした場合であっても時間をかけて、目の前にいる猫と向き合ってほしいとErinさんは語ります。

私自身、他猫の人慣れ具合を聞くと、気持ちが焦ってしまったこともありましたが、その子のペースに合わせて、じっくり向き合っていくことが大事だと痛感しました。その子が頼れるのは飼い主だけ。こちら側も、その子を信じて、ずっと向き合っていく決意が必要だと思います。

猫は過去を悔やんだり将来を憂いたりすることはないのかもしれないが、人を信じなければよかった…と思わせてしまうような出来事が起きないような優しい社会になってほしい。

そんなErinさんの想いに触れると、警戒心が強い猫への接し方を振り返りたくもなります。