一度見たら忘れられないほど目を奪われる切り絵アートを生み出すのは、切り絵作家のShinさん。
そっと触れて楽しみたくなる繊細な切り絵の数々に、多くのファンが心を奪われています。
手先の器用さを活かし、切り絵の世界にのめり込んだ
子どもの頃から手先が器用で、図工や技術家庭の科目が得意だったというShinさん。芸術系の学校には通ってはいない天性のアーティストです。
もともとは、本に載っている図案などの切り絵を制作していたそう。しかし、ある日ネットで、線の太さを活かして写真のように見せる切り絵があることを知り、衝撃を受けました。
こんなことができるのか…と。自分でも作れるようになりたいと思い、試行錯誤しながら独学で作るようになりました。
その技法を習得した後はオリジナルな作品も作りたいと思うようになり、現在のスタイルを確立しました。
初めて制作した動物は、知人宅の人懐っこいゴールデンレトリバー。
制作時は元気だったのですが、その後、病気で亡くなってしまって…。作品を知人に贈ったら、とても喜んでくれました。今でも飾ってくれています。
自分が制作した作品で、人に何かを伝えることができた。それがShinさんにとっては嬉しかったそうです。
切り絵をやってきて、本当によかったと思った瞬間でもありました。あの切り絵は自分にとっても特別な作品。だから、インスタグラムに初めて投稿しました。
製作に50時間かかることも…2タイプの繊細すぎる「猫の切り絵」
犬だけなく、ゾウや植物などの切り絵も制作しているShinさん。その手から生み出される猫の切り絵も繊細で美しい仕上がりです。
犬や猫の場合、毛並みを表現するのがとても難しいそう。猫の切り絵を制作する時は毎回、1枚の紙でどこまでリアルに表現出来るかを追求していると言います。
顔のみか全身かによっても変わりますが、ひとつの切り絵を制作するのにかかる時間は大体10〜50時間ほどです。集中力が続かないので、休憩を挟みながら切っています。
Shinさんが製作している猫の切り絵は、主に2パターン。絵画のように見えるこちらの切り絵は線の太さによって見え方がガラっと変わってしまうため、毎回、注意しながら切り進めているのだとか。
切る線の数も多いので、こうした作風の作品には50時間ほど製作時間がかかることもあります。
そして、繊細さが求められるこちらの切り絵にも高い技術力が必要です。
こちらは線状の切り絵と違い、曲線や円、複雑な形、線の太さも様々であるため、切り進め方を誤るとちぎれてしまうそう。
ただ、線状の切り絵ほど切る数が多くないので、制作時間は10〜20時間ほどです。
今後は、絵のような猫の切り絵をメインに、様々な表情や猫種にも挑戦していきたい。Shinさんは、そう意欲を燃やします。
絵画ほどメジャーではない「切り絵」の魅力を届けたい
なお、Shinさんが作品を発信する背景には、切り絵に対する熱い想いもあります。
50時間もの製作時間を費やした大作
切り絵は絵画などと比べると、あまりメジャーなアートではないので、自分の作品を通して、ひとりでも多くの方に切り絵の魅力を知っていただきたいです。
作品にはいつも、生命を吹き込む想いで制作している――。そう話すShinさんの切り絵は現在、不定期で販売されており、今後はオーダー制作も受け付ける予定です。
Shinさんが生み出す神秘的な切り絵はこの先、より多くの人に感動と癒しを与えることでしょう。