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海外の猫カフェや野良猫の守り方まで!「アジアねこ散歩ch」で知れる世界各国の猫事情

世界各国の猫を映し出している動物写真家・岩合光昭さんの「世界ネコ歩き」は猫も人も釘付けになる、大人気テレビ番組。目にするたび、「こんなねこ散歩をしてみたい」と思う猫好きさんは多いのでは?

そんな「ねこ散歩」を実際に行っているのが、アジアねこ散歩さん。

海外で出会った猫たちの日常を、YouTubeやSNSで発信しています。

「ねこ散歩」で見えたのは各国の心の豊かさ

2014年、アジアねこ散歩さんは勤めていた会社をご夫婦そろって退職し、海外へ移住。訪れたアジア諸国で見たのは猫らしく生活し、人と共存している野良猫たちの姿。

いつしか、アジアねこ散歩さんたちは野良猫を探しながら街を散策する“ねこ散歩”をするように。その日常を動画に記録しようと思い、2年ほど前にYouTubeで「アジアねこ散歩ch」を開設。現在はトルコのイスタンブールに滞在しながら、動画投稿を続けています。

動画撮影時、心がけているのは、できるだけ目線を下げて猫を撮ること。

岩合光昭さんがおっしゃっていた言葉を意識しています。立った状態から見下げるより、猫の目線とカメラを並行にしたほうが、猫が魅力的に映ります。

また、猫越しに見える風景や雰囲気も楽しんでもらえるように工夫。

かわいい猫動画なら家猫さんの動画のほうが絶対に優れていると思うので、背景にはこだわっています。

これまでに訪れた中で、一番印象に残っている国はインド。アジアねこ散歩さんはインドには毎年のように滞在していますが、2020年はパンデミックの影響により山奥の街に取り残され、10ヶ月以上滞在することに。

その間に1匹の野良猫と仲良くなりました。その子が妊娠・出産したので子育てのサポートをすることに。大変でしたが、貴重な経験をさせてもらえました。

そんな思い出深い経験をしたアジアねこ散歩さんにとっては、トルコも印象深い国。「猫に一番優しい国」だと感じたと言います。

実は、トルコは動物愛護法により、自治体に野良猫や野良犬の保護が義務付けられているため、街の人たちが動物を大切にしているのだとか。

猫が寒さをしのげるよう、街には毛布付きの猫ハウスがあり、毎日餌を配る人もたくさん。ドライフードを配る人もいれば、余ったお肉を配る人もいます。

さらに、トルコでは猫が増えすぎないように不妊手術も積極的に行われており、TNR(※野良猫を捕獲し、不妊・去勢手術を行い、元の場所に戻す取り組みのこと)された証である耳カットの猫もよく見かけられるのだそう。

野良猫の撲滅が目的ではないので、子猫もたくさんいます。トルコの猫は、世界一恵まれていると思います。

猫を見れば、その国の心の豊かさが見えてくる――。アジアねこ散歩さんは様々な猫の暮らしに触れ、いつしか、そう感じるようになりました。

猫のように儚く小さな存在に対してどう振る舞えるかというのは、心の豊かさを試される気がします。同じ野良猫でも、人から大切にされてきた子とそうでない子では表情が違う。猫が幸せそうに暮らす国では、人間も幸せそうに見えます。

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撲滅ではなく、野良猫との共生を願える優しい社会になってほしい

世界各国で人と猫のかかわり方を見てきたからこそ、アジアねこ散歩さんはまだまだ動物後進国である日本の猫事情には、複雑な想いを抱いているよう。

日本で保護猫活動をしてくださっている方々のことは、とても尊敬していますし、保健所など行政の対応が変わり、野良猫たちの環境が改善してきているのも嬉しい。日本のご家庭の中で幸せそうに暮らす家猫ちゃんたちの動画を見て、私たちも日々癒されています。

けれど、その一方で、猫カフェや猫キャラが溢れるにも関わらず、街に野良猫が1匹もおらず、決して動物に優しいとは言いがたい日本の現状に違和感を覚えているそう。

街が清潔なのは素晴らしいことですが、それと引き換えに大らかさを失っているのではないでしょうか。トルコの例から分かるように、市民の声で国の対応を変えることができれば、日本も野良猫と共存する社会が作れるはず。個人的には、そうした変化を心待ちにしています。

どの国が優れているかということではなく、猫を通して、異なる価値観が存在することを知り、世界や社会の多様性を感じてほしい――。それが、アジアねこ散歩さんの願い。

だからこそ、自身のYouTubeでは猫動画の他に、脚光が当たりにくいヨーロッパ小国・モルドバの魅力や中国での迫害から逃れてきたチベット難民のインタビュー動画なども公開し、自分の世界を広げることの大切さを訴えかけてもいます。

視野を広げて大らかな気持ちになると、生きることが楽になります。自分たちの動画が若い人が海外に目を向けるきっかけになれば、それ以上嬉しいことはありません。

アジアねこ散歩さんにとって、「ねこ散歩」は人生そのもの。今後は猫が多く、景観も美しいギリシャやマルタなどにも足を延ばしてみたいと考えています。

オシャレな編集や楽しい効果音も付けず、見たこと・感じたことを誇張や湾曲なく発信する「ねこ散歩」は趣味でも仕事でもなく、もっと自然な生活の一部です。

自分の目ではなかなか見ることができない、海外諸国で暮らす猫の日常。それに触れ、私たちも動物に優しい共生社会の在り方を考えていきたいものです。