企画記事

野良猫から「浅草演芸ホール」のスタッフになった看板猫ジロリさん

浅草演芸ホールは、都内に4軒ある落語定席のひとつ。落語だけでなく、漫才や手品も行われています。そこで看板猫として人気を博しているのが、保護猫のジロリさん。

今回は落語家の桂三木助さんや、ホールスタッフのまさえさんにお迎えの経緯やジロリさんの日常を伺いました。



元野良猫が浅草演芸ホールの「看板猫」に

ジロリさんは、元野良猫。ある日、「にゅうおいらんず」の演者ミーカチントさんが経営する喫茶店にふらりと迷いこんできたため保護され、里親探しが行われるように。当時1歳半くらいだったジロリさんはミーチカントさん宅で半年間過ごした後、浅草演芸ホールへ。

ホールスタッフのまさえさんいわく、当時、浅草演芸ホールではネズミ対策をしていた猫が高齢になり引退したため、ネズミの被害に悩まされていたそう。

館内にネズミが増え、SECOMのセキュリティ上、大事な有線をかじられていたため、社長に相談し、ジロリさんにネズミ対策をしてもらうことになりました。

それからというもの、浅草演芸ホールは「猫のいる寄席」として広く知られるように。Twitterでも、ジロリさんがチケットを渡す光景が大きな話題になりました。

お客様はチケットを渡されたり、握手ができたりすると笑顔になります。それを見ると、私たちスタッフもにこやかな対応ができて、とてもいい感じです。

ただし、ジロリさんがチケットを渡すことは稀で、年に1回あるかないか。普段は、本業の「ネズミ対策本部長」と「窓口のアイドル」を全うしています。

その中で、ジロリさんはお客さんだけでなく、落語家さんや色物芸人さん、お囃子のお姉さんたちなどからもかわいがられているよう。猫好きの落語家、桂三木助さんも強い”ジロリ愛”を持つひとり。

浅草演芸ホールでジロリさんと会えることが、楽しみのひとつになっているのだそう。

私は、叔父である四代目桂三木助が猫を飼っていたことから、猫好きになりました。叔父が亡くなった後、その猫を我が家で引き取り、2006年に亡くなるまで一緒に暮らしました。それ以降、猫は飼っていませんが、一時期は寂しくなって猫カフェに行っていたこともあります。

そう語る桂さんは意外なお師匠さんや兄さんたちが猫好きであることを知り、驚いたことも。そして、ジロリさんが来てくれたことにより、お客さんからさらに声をかけてもらいやすくなったことに喜びも感じています。

また、まさえさんのほうはジロリさんが来てから芸人さんたちがチケット売り場に寄ってくれることが増えたことを嬉しく思っているよう。

今回のコロナ騒動のようなことがあれば、猫飼い歴イコール年齢の私が責任を持って対応しますが、ジロリには“飼い主”という概念がなく、浅草演芸ホールのいちスタッフという扱いです。ジロリがいたから出会えた方たちがたくさんいます。色々なご縁を運んできてくれた“招き猫”です。

たくさんの人を笑顔にし続けるジロリさんは今や、なくてはならない存在。これからも多くの人々から愛されつつ、歴史ある浅草演芸ホールをさらに盛り上げていってくれることでしょう。