企画

下半身麻痺のハチワレ猫ハチくん、命の危機を乗り越えての穏やかな日常

後ろ脚をひきずりながら両手で身体を支えて、器用に楽しそうにくるくる回る猫ちゃん。下半身に麻痺のある猫、名前はハチくん。

ハチくんは現在1歳7カ月。こんなに元気で幸せに生活できるようになるまでには、様々な試練がありました。

きゅるるんとしたおめめのハチくん

保護直後に下半身麻痺が判明…大けがで生死をさまよったハチくん

飼い主さんがハチくんを保護したのは2020年6月8日のこと。鳴き続ける母猫とその側に横たわる異常に呼吸の早い子猫を見つけたのです。遠目には目立った外傷もなく怪我をしているようには見えなかったという飼い主さん。しかし、明らかに様子がおかしいので、とても迷ったそう。

この子の一生を見るにはかなり覚悟をしないといけません(その時点では下半身が動かないとは全くわかりませんでしたが…)。母に連絡をして、これから猫を保護するから一緒に覚悟を決めてほしいと言いました。今思うと自分への意気込みだったんだと思います。

段ボールやタオルなどを取りに行き、保護の準備をして戻ると、母猫の姿が見えなくなっていました。その日から母猫と他の子猫の姿は見ていないそう。こうして、その場に残されたハチくんを保護したのです。

保護してみるとひどい怪我をしていることが分かり、急いで病院に連れて行った飼い主さん。そこで告げられたのは「この子、足ダメだね」という言葉でした。

ハチを保護したとき、逃げようとせずただ怯えていたので、怖くて腰が抜けているのだと思い込んでいたんです。ですから、少しの間先生の言葉に理解が追いつきませんでした。ハチの下半身はもう動かないと理解したとき、どうしようもないほど不安に襲われました。いくらでも方法はあったと思いますが自分自身でこの子と向き合い、この子の一生を見ると覚悟を決めていたからこその不安だったんだと思います。

しかし、最初の病院での治療はうまくいきませんでした。手当をしているにも関わらず容体は悪くなる一方。傷口から膿が止まらず皮膚や肉も溶けて流れ、骨が見える状態まで悪化してしまいます。生後2カ月の小さな体だというのに、体重も減り続け、毎日の強制給餌でなんとか栄養を摂っている状態でした。

セカンドオピニオンを求め、転院。そこで告げられたのは、さらに想像を絶する言葉でした。それは「安楽死」…。

カラスによる傷のせいで細菌に感染しており、すぐに手術が必要だと。しかし、ハチが麻酔に耐えられるかも分からず、手術をしても助からない可能性もあるので、安楽死も視野に入れてほしいと――。

まさか安楽死と言われるほど酷い状況だとは思っていなかった飼い主さん。「痛くて苦しくて辛い思いをさせてしまってごめんね」という思いと、出会って数日しか経っていないのにもうこの子なしでは生きていけないという思い、様々な思いがあふれて、病院で涙が止まらなかったと言います。

もちろん獣医師の先生は安易に安楽死を勧めたわけではなく、今となれば「足が不自由で排泄障害もある猫をあなたは一生面倒を見ないといけないんだよ」という私への確認だったのかなと感じます。

飼い主さんにとっては、ハチくんが死んでしまうことがなによりも怖かったそう。安楽死という選択肢はなく手術を受けることを決意します。

手術が終わったハチくん、頑張ったね!

かなり状況が厳しいときもありました。毎日不安で眠れずご飯も食べられず、ただただハチを抱きしめて泣きました。今日がハチと過ごせる最後かもしれないと、毎日思っていました。

飼い主さんの必死の祈りが通じて、なんとかハチくんの手術は無事成功します。数カ月をかけて、次第にハチくんの容態はよくなっていきました。

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下半身麻痺による排泄障がい――ハチくんの日常のお世話をYouTubeで発信

飼い主さんの献身的な看護もあり、傷がいえたハチくん。しかしハチくんは、背骨を損傷していることで下半身に麻痺があるので、尿を自力で出すことができません。毎日2~3回、「圧迫排尿」といって、お腹を押さえて膀胱から尿を絞り出すお世話が必要です。
最初は便も出せませんでしたが、今はリハビリの成果もあり、足に力を入れて自力で出せるようになったのだそう!
飼い主さんは圧迫排尿のコツややり方、ハチくんとの生活で気を付けていることなどをYouTubeなどで積極的に配信しています。

 

お世話に関して、大変ですねと言ってくださる方がいますが、私は大変だと思ったことは一度もありません。毎日の圧迫排泄も私にとったら皆様が毎日猫ちゃんのおトイレ掃除をしたり、ワンちゃんのお散歩に行くのと同じです。皆様が思っているより手はかかりません。私は小さい頃から犬や猫がいる生活ですが、なんら変わりはありません。

飼い主さんはハチくんからたくさんの幸せをもらい、ハチくんを通してSNSなどでつながっている人々からも勇気をもらっているといいます。たくさんの人に支えられ、アドバイスをもらってここまできたことから、今度は自分が誰かの助けになれれば、わかる事であればいつでもなんでも相談して欲しいと思い、YouTubeなどで発信しているそう。同じ境遇の方から相談や参考になりましたとDMをもらうと、本当にやっていてよかったと思うと話してくれました。

動きが出てきた足…下半身麻痺をものともしない元気!

飼い主さんが根気強くさすったり、足を押し返したりするリハビリを続けていたことによって、ハチくんの足の動きにも変化が出てきています。

足を触ると「やめて」と反応をしてくれます。尻尾もたまに動きます。

焦らず、じっくり。足が動かなくてもハチくんの可愛さは微塵も損なわれませんが、希望があるなら…と飼い主さんは努力を続けています。

そんな飼い主さんにハチくんのかわいいと思う点を伺ってみました。

言い出したらキリがないのですが(笑)ハチは特別甘えん坊だったり分かりやすく寂しがったりもせず、猫ちゃん特有のツンデレな性格なのに加えとても怖がりなので、いつも外の足音や話し声が少し聞こえるだけで隠れるのに、私が帰ってくると玄関にいたりします。なので足音で私だとわかるんだなぁと愛おしく思います。あと少し離れた場所にいても必ず視界に入っていたり見ると必ず目が合うのでずっと私を見ているんだなと感じます。

ちょっぴりシャイで飼い主さんとお母さん以外には慣れていないというハチくん、命の恩人である飼い主さんの愛情はしっかり伝わっているようです。
ハチくんの命そのものを愛してくれる飼い主さんの側で、穏やかで幸せな猫生を歩んでいくことでしょう。