猫と暮らす日常を描いた猫漫画からは、癒しを貰えるもの。イラストレーターの「ねことしもべ」さんは自身の愛猫との日々だけではなく、読者から寄せられた“猫体験談”も漫画化。
斬新なアイデアと、読者とのタッグによって生まれた猫漫画は更新されるたび、SNSで大きな話題となっています。
愛猫の尻に敷かれる日常の楽しさを猫漫画で発信
2年ほど前、ひとり暮らしを終えて実家に戻った作者さん。会社員を辞めてフリーランスになったことで愛猫と過ごす時間が増え、より猫様2匹の尻に敷かれるようになりました。
先輩猫のジーナちゃんは、好奇心旺盛。普段、閉めているトイレのドアが少しでも開いていると、ダッシュで入り込もうとします。
要求がはっきりおり、目で訴えてくるタイプ
よく、膝の上でゴロゴロ言ってくれます。しもべ(私)との追いかけっこが大好きです。
一方、後輩猫のゾーイちゃんは慎重派。日頃は少し距離を保ちつつ、家族の様子を観察しているそう。
でも、構ってほしい時には勢いよく体当たりしてくるツンデレ気質です。
猫たちは、出かける直前に膝に乗ってきたり、忙しくしている時にかぎって「遊ぼうよ」とアピールしてきたりと、マイペース。
作者さんは要求に抗えず、愛猫の膝乗りによってカフェのモーニングを逃したこともあります。
その時は、『もういいや、満足するまで膝を貸そう』と思いました。遊びに誘われると、応じてしまいます。そういう時、猫のしもべだなあとつくづく思います。
そんな日々を送る中で、作者さんは愛猫との日常を『ねことしもべ』というタイトルで漫画化したら、面白そう…とひらめきました。
一緒に過ごしていると、本当に色んなことが起きる。そのたび、家族に報告していましたが、せっかくなら全世界にもこの面白さを伝えたい!自慢したい!と思ったんです(笑)
猫体験談を募集したら“十ニャン十色な猫ライフ”が明らかに!
愛猫との日々を漫画で伝え始めた作者さんはその後、ユニークなアイデアを思いつきます。それは猫体験談を募集し、“誰かと愛猫の暮らし”も漫画化することです。
人間の体験談を漫画にするスタイルを見かけることが多かったので、これを猫とのエピソードにしたらどうなるんだろうと思って…。
実際に体験談を募集して知ったのは、猫という生き物の奥深さ。読者の“十ニャン十色な猫ライフ”に、思わず笑みがこぼれもしました。
うちの子とは全く違う猫ちゃんもたくさんいて、毎回新しい発見があります。体験談を読むたびに、猫って個性豊かだなと感動します。
漫画を描く際に心がけているのは、猫を活き活きと描くこと。表情はもちろん、仕草や佇まい、寝顔など一瞬の味わい深さや感情のリアルさをかわいく、分かりやすく表現するようにしているそう。
また、かわいい癒しエピソードだけでなく、ちょっと大変だったことや困ったことなど、リアルな猫生活を描くようにも意識しているのだとか。
猫との暮らしって、“かわいい”だけじゃない。そんな日々をユーモラスに描けば、猫と暮らしている方は共感できるし、暮らしていない方は猫の意外な一面を知るきっかけになると思うんです。
猫漫画を通して見られる“猫好き同士の交流”にほっこり
これまで描いた作品の中で特に印象的なのは、自身の体験談を描いた「足が突き刺さるねこ」という猫漫画。
初めてバズった作品です。猫あるあるって、こんなに共感してもらえるんだ…と、とても嬉しかったです。
また、寄せられた体験談「至近距離で食事するところを見ててほしい猫」を描いた際には、猫好き同士の交流にほっこりしました。
うちの猫たちはこの行動をしないのですが、読者の方から共感コメントがたくさん届き、猫好き同士の情報共有のような雰囲気が生まれていました。
実は作者さんの猫漫画は、韓国でも大人気。ソウルのカフェではポップアップイベントが開かれたことがあり、商業施設や雑貨店ではグッズが販売されています。
ソウルのカフェで開催されたポップアップイベントの様子
出展のきっかけは一昨年、デザインフェスタに出展したこと。韓国の代理店から声をかけてもらったのです。
韓国限定のオリジナルグッズも制作しています。現地のデザイナーさんは、とてもかわいいデザインに仕上げてくださっています。
韓国の雑貨店でのグッズ販売
なお、最近では韓国アーティストの日本語版MVにイラスト提供も行ったそうです。
猫愛を原動力にして活動の幅を広げる、作者さん。今後は様々なおうちの「ねことしもべ」が登場する創作ストーリーも描きたいと意欲を燃やします。
他作品とのコラボや、猫好きな声優さんに声を当ててもらってアニメ化したいという夢もあります!
共感できて気が緩む「猫漫画」を描いていきたい
我が家は家族で猫をかわいがっているので、大変なことも一緒に受け止められるけれど、そうじゃない人もいるかもしれない。だからこそ、共感でき、ふっと気が緩むような漫画を描いていきたい。
そんな想いがあるからこそ、作者さんが描漫画はゆるかわテイスト。それなのに、猫が持っている愛くるしさや無邪気さ、時折見せる理不尽な行動などはリアルに表現されているため、猫好きさんの心を掴みます。
猫は、ただそこにいるだけで癒してくれる存在。それだけでもありがたいのに、時々、構ってアピールをして甘えてきてくれて、たまらなく幸せな気持ちになります。
様々な人の猫ライフが知れる、作者さんの猫漫画。Xやインスタグラムを通して作品に触れると、“誰かの愛猫”も愛しくなるはずです。